新鮮新生児

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※セバスチャン＝あだ名
執事喫茶に勤めてて、偶然燕尾服の状態の時に村入りしたとか、そんなん
ちなみに女




荒川にも、冬が来た
大概の人間がそうであるように、例外に漏れず俺も寒いのは苦手だが、重ね着が出来る季節であるので、嫌いじゃない

朝早くからのミサが終わり、クッキーの配給も終わった
一日も早々に予定がなくなり、空いた時間を教会に寄ったり自宅に帰ったりと各々好きに行動し始める中、一人この寒空の下クッキーを手に棒立ちしている人間がいた

セバスチャンだ

奴はこの北風吹く中随分熱い視線でシスターを見つめてる
そこは経験豊富な俺
その瞳には覚えがあった

ははぁん…荒川には随分早く春が来ちまったみてぇだなぁ…

自然と弛んじまう顔をそのままにどうせ暇な時間、折角なら恋の話に花を咲かせようと未だ惚けているセバスチャンの肩に腕を乗せた


「よぉよぉなんだよオイ、セバスチャン！お前ああいうのが好みだったのか？」

「わ。い、いきなりなんだよ星…」

「まぁいいじゃねぇか、お前とこういう話すんのは初めてだな…あれを物にすんのは難しいぜ〜？障害も多いしな」

『シズちゃんって飛行機乗る時金属探知機とかに反応しそう』


「…あぁ？」


『あるじゃん、飛行機乗る前にさぁ、ゲートみたいなとこ潜って金属付けてるとピピーッって鳴っちゃうヤツ。あ、飛行機乗った事ある？』


「あー…ねぇけどよ。でもそれは知ってるぞ。テレビとかで。」


『あー…そっか。』


旅行とかよ、行ける訳ねーじゃねーか
自国でも、寧ろ自分の住む町ですら上手く動き回れねーってのに…

『ねぇねぇシズちゃん』


「…あぁ？」


『じゃあバス乗った事ある？』


「流石にあるよ」


『ふーん…じゃあどっか行くとしたらバスかなぁ』


「…」


『国内旅行もいいねぇ、バスだと北海道や沖縄は行けないけど、京都くらいは行けるよねぇ。あ ドタチン達に頼んでワゴンに乗っけて貰ったら交通費ただかなぁ！』


「…乗れねーだろ、そんな大勢」


『そっかぁ…あ シズちゃん体力あるから自転車でもある程度なら行けちゃいそうだねぇ』


「おぅ。そん時は後ろ乗せてやるよ。」





お前と一緒ならきっと楽しめる気がするよ







追記にオマケ

ヒロインはどっかのおぜうさま





『あ！シズちゃんシズちゃん、』


「あ？……
…手前使った分は出すのが人の道理ってもんだろうがよぉ」


「ヒィィ！すんません、すんません、勘弁して下さい…！！」



シカトだぁぁ！
いやお仕事中に話かけたのがいけなかったね！

でもね、大事な話なんだよ聞いてよシズちゃん！



『シズちゃん！シズちゃん！聞いてよシズちゃん！』


「手前ぇそれ何回目だと思ってんだ信用ねぇんだよ」


「すいませんすいません…今回こそ、今回は宛てがあるんで…！」


『シズちゃん私結婚するんだ！』


「あぁん？！テメェふざけた事言ってんじゃねーぞ！結婚相手宛てにするってどういう了見だコラァ！」


「違います！混ざってます平和島さん！！」

『そうだよ違うよシズちゃーん、結婚するのは私だよー』


「え、あぁ悪ぃ間違えた…えぇと……あぁ？！」

♂♀

『おじさん返済頑張ってねー！』

「おい手前、結婚ってどういう事だ」

『いやぁ、なんか私居たみたいだよ婚約者！』

「軽い」