ギリギリ3月に読み終わった本
破獄/吉村昭

「犯罪史上未曾有の、四度の脱獄を実行した佐久間清太郎」(実在、仮名)と、彼に関わった刑務所職員たちの、闘いの記録。戦前から戦後にかけての、日本の刑務所の状況、歴史が分かる。

戦時中に亡くなった囚人の死亡原因一位は、空襲による被害…ではなく、栄養失調だったらしい。
職員も同様で、「低給与と食生活の不安から、勤務に対する情熱がうすれている」とあった。

終戦直後、「世相は悪化し、殺人、強盗事件が急激にふえ、警察力の低下で50パーセント近くが未検挙であった」
「食糧問題は依然として好転せず、闇市場には人々がむらがって空腹をいやしていた。…戦災で壊滅した工業の立ち直りは遅々としていて、逆に倒産件数が増し深刻な失業問題をうんでいた。」

戦時中、終戦直後の刑務所の様子があまりにも惨かった。
こんな時期を生き延びたご先祖…おじいちゃんとおばあちゃん…は凄い。これはおばあちゃんが貸してくれた本だが、どういう気持ちで読んだんだろう。

今の刑務官の方達も大変だろうな…。

あと、植物の鑑賞や栽培には、セラピー効果があるんだなって思いました。

ノンフィクションではなく、あくまで小説。登場する関係者の名前は全て仮名。当時の出来事や世相から、職員たちの心理や戦略を読み解いたもの。