31日は、妹と京都国立博物館の国宝展に行ってきた。
前日に混雑具合をネットで調べたら、平日の朝10時から80分待ち…。実際、10時に行ったら、やはり70分待ちだった。
係員の誘導がユルすぎるのと、建物の造りが中途半端なせいだと思った。

中の混みようもすごくて、例えるならば通勤ラッシュの電車に3時間乗るしんどさに等しい。もし一人で行ってたら、絶対途中で心折れてた。これは喋り相手がいないとキツい。

しかしその甲斐あって、本当に良いものが見れた。

長谷川等伯の松林図屏風…本や画像では分からなかった。めっっっちゃ薄い色の松が、実はたくさん描かれていた。どのぐらいの薄さかというと、肉眼でギリギリ確認できるレベルで…。
眺めれば眺めるほど、周りの空間だけ違う空気になってくる。絵の世界が寒そうだから、見ているこっちまで、だんだん寒さを感じてくる。いやこれガチで。

長谷川久蔵の桜図…長谷川等伯の息子の代表作。これもまたすごかった。八重桜の花盛りな勢いが迫ってきて、圧倒される。日本語がおかしいけど本当にそうだったんだ…。
妹が、「花びらに切れ込みがある」と言ったのに対して、「切れ込みだと見えるように描いてるのでは?」と私。
あとで調べたら正解は、「白い貝殻を砕いて作った顔料を、花の形に盛っている」だった。
アイデアってすげー…。

狩野永徳の花鳥図襖…聚光院で見たあの襖。あの時は廊下から眺めた。今回はもっと近付いて見ると、さらにすごくて、もっとこの絵が好きになった。妹も「今日見たやつで、これが一番すごかった」と言っていた。
「梅の枝の力強さがすごい」「鳥が可愛い」と話しかけていたら、妹は「一人の作者が、全く違う手法を使い分けて一枚の絵を完成させているところがすごい」「狩野派の贋作には、動物は上手いけど山が下手とか、逆に背景は上手いけど人物が下手、っていうパターンが多いけど、この人はすべての描き分けが完璧。筆の運びが全然違う。水の描き方とか…やばい…」と言っていた。
イラストと書道が得意な人だからこその発見…コイツと行って良かった…。
あちこちの箇所を見るたびに、あんなとこに鴬が、とか、こんなとこにスミレが、って発見があって、面白かった。やっぱすごいわこの絵…。

牧蹊の観音猿鶴図…やっぱやべーわ。。って語彙の貧困さが半端ないけど、やっぱすごいしやっぱ好き。左の鶴が。しばらく見てると感情移入してしまう。右の猿はのモデルはテナガザルなのかな?

目当ての作品は以上3点。
他にすごかったのは…

薬師如来像(仁和寺)…10センチちょいくらいの高さなのだが、ヤバいぐらい造形が精巧。信じられない。

銅板法華説相図(長谷寺)…いやほんまどうやって作ったんだ??

扇面法華経冊子(四天王寺)…扇形の経文。先に絵が描かれていて、その上から経句が書かれている。絵は経文の内容を表現しているらしい。
髪の毛とかぶる文字は金で書かれているんだが、筆を途中で持ち替えて、しかも普通の墨汁とは書き味も違うだろうに、全く崩れていないバランス…。
扇形だから行も斜めだし、しかも、中心に向かうにつれて徐々に文字が小さくなっていく。ドシロートが見ても、やべーって思ったわ…。

金光明経 目無経…経文と書のコーナーで妹が一番惹かれていたのはコレだったような。

瓢鮎図(如拙筆)…教科書に必ず載ってる掛け軸。絵の意味が全く分かってないままこの年齢になったが、この日の解説パネルでスッキリ解決。妹は解説本を買って帰った。

黒漆雲竜螺鈿東道盆(琉球国王尚家関係資料)…螺鈿細工のお盆。印刷や画像ではこの綺麗さは伝わらない。お盆でこの豪華さはヤバい。

御堂関白記(藤原道長自筆本)…藤原道長の直筆日記。図録の解説いわく、「平安時代の日記にあって、かなりの部分で自筆本が現存するのは奇跡に近い。記録を伝えることが最重要視された公家の世界で、歴代の近衛当主がこれを遵守した結果の賜物である。」

一族の1000年以上の努力…。すごい。他の国宝だってそうなんだ。作品を生み出した人、守る人、寺や神社や博物館で働く人、支える人、修理する職人、研究者。その情熱こそが国の宝で、皆でこれからも守っていかなければならない。

この会場で面白かったのは、他の人と擦れ違った時に、綺麗ね〜とか、すごいねぇ〜とか、一言話し掛けられたこと。思わず共感を求めたくなるその感じ、めっちゃ分かる。

けど会場出たらヘトヘト。京都駅に流れ、Liptonでゆっくりした。めっちゃ美味いと満足していた。特にケーキ。

都会に住んでたら、いつもこういうとこ行けるの?いいなぁー。と言われた。

いやいや、ご飯時はいつも観光客でいっぱいで入れないよ。行く気になるのは五右衛門かドトールぐらいかな。と答えた。ガッカリしていた。

正倉院展も気になるけど、人混みはしばらくパスしたい。
ただし、国宝展はそれでも行く価値あり。