弾む息、うっすらと白い街。片手には小さな袋。
日曜だと言うのに、朝早く起きて精一杯のお洒落をしてドキドキと共にあの場所を目指す。
―喜んでくれるばず
苦しい筈の呼吸下で、自然と頬が緩んだ。
廃墟を何故か朝から掃除して、未だに落ち着かない心と葛藤している。用意は万全。チョコだって用意した。きっと彼は手ぶらで来ると思っているから。うっすらと滲んだ額の汗を手の甲で拭い、窓から外を見下ろす。うっすらと白化粧した廃屋。少しだけ、祝福されたような気になった。
「中々どうして。素敵ではないですか」
クフフと独特の笑いを零して、身支度を整える為にシャワー室へと消えた。
到着した場所も白く彩られ、歩く速度を落として、待ち人の元へと向かう。
身支度を済まし、薬缶を火にかけ時間を見た彼は、もうそこまで来ている彼を招く準備に勤しむ。
ドアの前、小さく深呼吸して取っ手に手を掛け開いた。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
顔を見合わせて、にこりと笑う。中に入るよう促すと、彼が照れたように小さな袋を差し出した。
「今年は忘れなかったよ。旨いかどうかは保証しないからな」
差し出された袋を受け取って、額にキスを1つ落とす。
「君からの贈り物ですよ?僕はとても嬉しいです。でも、保証しないとはどう言う意味ですか?」
モジモジしながら聞いた答えは、信じらんない位嬉しいもの。
「俺の手作りだから、心配で」
「本当ですか?だとしたら、僕は幸せ過ぎます。死んでしまいそうだ」
とろけた笑顔で言われた台詞に綱吉が青くなった。
「えぇぇ!?」
クスクス笑いながら、ソファへと座らせ用意した包みを渡す。
「僕のも受け取ってくれますか?」
「うん。ありがとう。嬉しいよ」
重なる手に、はにかんだ様に笑う綱吉が可愛くて骸は唇を重ねて、甘く甘く囁いた。
「愛しています」
返された言葉は、嬉しさに掠れて震えた。
「…うん。おれも…」
けたたましく鳴る目覚ましのベル。深いため息と共に目を覚ました骸に訪れるだろう1日は、甘いのか苦いのか。
「ちっ!忌々しい!後一歩だったんですよ!?」
…end
すみません〜(泣)