黒葉の連絡や所在が掴めなくなって早幾日、ここの機嫌は絶不調だった。
応接間で皆とゆっくりしていても口数が少なく、ピリピリとした雰囲気を崩さない。
それは宗近も一緒だった。
こちらはどちらかというと落ち込み、悩み事の方が多いのかも知れないが、普段大らかな眉は常に潜められている。

「宗近兄さん、ここ兄さん、苺の香りのする紅茶は如何ですか?」
「……ええ、そうですね。頂きましょう」
「…………」

にっこりと微笑みを浮かべるここだが、その瞳は剣呑にギラついていて見る者を萎縮させた。
そんな二人の兄を心配し、ここまで思い詰めるとはと一期は苦笑して見守る。
宗近の隣では鶴丸がおやつを口に運んだり紅茶を傾けたりと甲斐甲斐しく世話をしていた。

「鶴丸、そこまで行くと介護の様だぞ。あまり気にせず自分の事に集中しろ」
「鶯……ちか兄はそんなに年寄りじゃ無いだろ。それに……今はちか兄の世話をしてる方が良いんだ」

言外に心配でおかしくなりそうだ、と言われてしまえば鶯は黙るほか無い。
心配なのは鶯も同じで、それを言うならこの場の皆がそうなのだ。
と、不意に来客を告げる音が鳴るのと、ここの携帯に着信音が鳴るのは同時。
一期は来客への対応に向かい、ここは届いたメールを見て固まった。
不自然に固まったここに声を掛けようとした瞬間、

「なんだなんだ? しけた面して、相談なら姉さんがいつでも聞いてやるぜ?」

不敵な態度でニヒルに笑い、洋画などで使われる革鞄を持ったヒスイが現れた。



はぁはぁと荒い息を吐き、大量の汗をかきながら国永は胸を押さえて苦しんでいた。
快楽に濁った紅い瞳は焦点を合わせず、今は男達にされるがままに色々な服装で犯されている。
今の服装はヒラヒラとした布地が多く使われた漢服という奴で、手には手錠がされていた。

「国永? なんだ、クスリが切れたのかぁ? ほら、あーん」
「……にゃ、あー」

紅潮した顔で幼い挙動で口を開いて舌を出し、クスリを受け入れる。
その後に口移しで何度か水を飲まされ、大人しくちゅうちゅうと吸い付いた。
途中でぶるりと身を震わせ、更に表情が蕩けていくのと同時に政宗が用意した香とは違う甘い香りが漂い出す。
ちゅうちゅうといつまでも唇を吸って離さない国永を、身体を押して離れさせた。
快楽で蕩けた紅い瞳は甘さを含んでおり、離された唇が寂しいと赤い舌をぺろりと見せる。
くたりと寄れた身体からは花のような甘い香りが漂い、政宗は喉を鳴らした。

「もしかして、発情期か?」
「にゃあ、あぁん、なあ、なぁお、ふにゅ、なぁん、なぁあん」

言語を忘れて猫の様に鳴き、政宗の身体に頭を擦りつけて、腰を高く上げてふりふりと主張する。
国永の突然の色気に驚愕して固まっていた政宗は、これが発情期……Ωのヒート期なのだと実感した。
同時に、犯し尽くして自分のモノにしたいという欲が溢れる。
身体を布団に伏せながら腰を高く上げてこちらを誘う国永の服を無遠慮にまくり上げ、剛直した己のモノを一気に捻り込んだ。

「みぃああああ"あ"あ"ッ!? は、あ、は、きゅ、う、んッ! にゃ、にゃ、にゃ、あ、あッ!」
「くそッ、甘えた声出しやがってッ! そんなに良いのか、おらおらぁッ!!」
「きゅうッ! は、は、あ、あ、あ、にゃ、なぁ、なぁ、ん、ひにゃッ! あ、ふぅ、ひぃんッ!?」

貫く度、良いところを擦る度にビクビクと尻を震わせて後孔を締め付ける。
甘えた声と溺れた顔でぐたりとベッドに上半身を投げ出して、唾液を垂らしながら紅い瞳は言うのだ。
もっと酷く突いて欲しい、子種が欲しいと。
どれだけ突いて精を注いだとしても変わらない国永の欲に、上手く調和しているのだと政宗は笑った。
他の男達が幽鬼の様に国永に釣られ、口にモノを含まされ、両手で扱かれ、背面座位で突かれて嬉しそうに幸せそうに甘えていく。

「ん、ぶ、む、ちゅ、ぢゅるる、ぢゅううう、ぷあ、はむ、ん、ぐむッ、じゅううッ」
「は、国永ちゃんの口まんこマジ最高!」
「手まんこも上手いし、エロいよなぁ、さいっこうだぜ」

口のモノを舌を絡めて喉奥に咥え込み、じゅるじゅると吸い付き離そうとしない。
手は両手とも違う動きで先端を弄ったり、玉を揉んだりと確実に攻めていく。
後孔に入ったモノは締め付けたり緩めたりと加減を変えて楽しんでいった。
腰下に宿らせた徴は順調に育ち、そろそろ腹へとその角を到達させるだろう。
それが絡みきった時が苗床の完成を示し、国永を花嫁に、黒葉を供物にする頃だ。
黒葉の方はどうかと様子を見に行けば、口移しでクスリを飲まされている所だったのか蕩けた顔でキスをしている。
ほぼ抜かずの精は腹を膨れさせ、後孔は確実に阿倍のモノを覚えているようだ。

「ん、んぁ、はぁ……あッ!ひッ、いいッ、あッ、あッ!!」

背中をしならせてビクビクと震えながら、阿倍のモノに擦られて気持ち良さそうに顔を蕩けさせる。
元々体力が少ないらしい黒葉は、早々に嬌声以外の言葉を話さなくなった。
だがその分、凍った表情を和らげ甘く蕩けさせるのが面白い。
今も蕩けながら男の頭に縋り付くように撫で、涙を流して多幸の笑みを浮かべていた。
確実に堕ちてきている様子に、政宗は黒葉の顎を掴んで唇を重ねる。
にゅるり、と忍び込んでくる小さい舌に、愛らしく感じながら吸い取るように絡め、噛み、上顎を舐め取った。
口を離した頃には肩で息をする程蕩けきり、口の端から飲めなかった唾液を垂らして微笑む。
随分と愛らしくなった姫の姿に満足をし、再び国永の方へ向かおうとした瞬間、

「すまないが、俺の知り合いが来てないか?」
「政宗、あんた……」

見知った姿を見つけて政宗は驚愕した。