もし、望み通りになる薬があるとしたら。
それはとても素晴らしい事だ。
何故ならずっと欲しかった宝石を手に出来るのだから。
政宗は欲に惑わされ薬を飲み、そうして一際強かった欲に飲まれて情欲の司祭へと堕ちた。


胸の乳首をクリクリと弄られ、反対の乳首も口に含まれて転がされ、時折噛まれるとイってしまいそうな程の快感に悶える。
開きっぱなしの口端からは唾液が溢れ、見開いた紅い瞳は瞳孔を開かせて焦点を無くしていた。
思考すらままならない中、四肢をベッドに拘束されて政宗からの一方的な愛撫に溺れる国永。その意識は、チカチカと瞬く視界に政宗と会った時の事をフラッシュバックさせていた。

「おお、国永! 本当にトモダチを連れてきたのかよ」
「? 君、酒でも飲んでるのか? こっちは親友の黒葉、まあ訳ありだ」
「ヒ、ヒヒヒヒヒ! 訳ありなぁ? こっちとしては人数が増えるのは構わないぜぇ?」
「……こやつ、信用出来るのか?」

政宗のいつにも増してハイな様子にため息を吐いて肩をすくめる。
少なくとも普段はそう思っているが、この状態ではまともな会話が出来るとは思わない。
何より飲み過ぎた時に絡んでくると、国永でもうざいと感じるほどだ。

「日時と場所を指定したのは君だったと思うんだが……酒じゃ無いならクスリか? 何にせよ、日を改めた方が良さそうだな」
「まあまあ待てよ、国永くん。君たちに試薬をさせるんだから、害が無いか先に試したんだよ」
「そうなのか? それはすまない、調子は?」
「ハイテンションってのとー、少し絶倫、かな? ヒヒヒ、俺ってばクスリに強ぇのかもなぁ」

相当脳みそをやられている様だ、と思いながら黒葉へと目を向ける。
暫し悩んだようだが、政宗の様子を観察した後に頷いて返した。

「副作用は一般的なクスリの類いより軽い物のようだが、器官は既に出来ているのか?」
「それは長期摂取によるんだろうな、一回じゃあ俺の身体に変わった所は無い」
「ふむ、まあそうだろうな。出来れば在宅服用をしたいのだが?」
「そいつぁ…………無理だろうな」

言葉と同時、肩を組んできた政宗に引き倒される様に抱え込まれて首に何かを刺される。
黒葉が目を見開いて驚いているのを見ながら、小突いて確認しようとするのを急に現れた男達に押さえられた。
舌打ちと同時に文句を言ってやろうと口を開いた瞬間、

「ふぁぁあああああ!? は、ひッ、あッ!!」

何かの液体を流し込まれる感触と頭を駆け巡る蕩けるほど甘い快感に、声を出して目の前を白く染める何かに身体から力が抜けた。
ぐったりと政宗に身体を預けながら、快感の余韻にビクビクと身体を跳ねさせる。
全身に走った快感の痺れは国永の瞳から涙を押し流し、口も満足に閉められずに唾液を流した。
謎の注射によりあっという間に快感へ堕とされた親友を見、黒葉は絶句する。
そして国永を人質にされた今、この場から自分も逃げる事も叶わないだろうと知った。

「何を考えている。少なくとも国永は本気でお前を信用していた。その思いを裏切るのか?」
「ヒヒヒ、ヒッ! 信用なぁ、元よりそんなもんが欲しかった訳じゃねぇ。欲しかったのはこいつ自身さ」

べろり、とピアスをしている舌で国永の頬を舐めれば、微かに喘ぎながら気持ち良さそうに目を閉じて震える。
自分もついでとばかりに捕まるのだろうが、それでも政宗の事を信用していた国永が悔やまれた。
同時に、何故そんなにも堕としてしまったのかという疑問も。

「お前はそういう目でこいつを見ないと聞いていたぞ?」
「ハッ、それこそ最初は諦めたさ。けどなぁ、惚れた相手に後から手を出した男が居ると聞いて黙ってられるか」
「諦めの悪い……」

会話をするうちにも徐々に男達が黒葉を拘束し始め、同じように首に注射器の針が刺さった。
通常なら腕などにする物だろうに、初心者が相手では生きた心地がしないと顔を青ざめる。
せめて家族には手を出されないと良いのだが、と考えて愛しい番の姿を思い描きながら目を閉じた。



黒葉もまた注射を打たれ、快感に身を喘ぎながら身体から力が抜けていく感覚を味わっていた。
髪をほどかれ頭を撫でられる度に背筋に甘い痺れが走り、顔を上げれば知らない男が笑っている。
けれど、その男に触られる度にドキドキと胸が高鳴り、愛しさが込み上げてきた。
その唇で触れられればどれだけ気持ちが良いのだろうと、瞳を潤ませて見上げてしまう。
一方男はまた、お雛様と呼ばれていた黒葉をよく知り、熱情を持っていた。
大事に大事に触れる度に身体をビクビクと跳ねさせながら愛らしい微笑みを浮かべる憧れの人に感極まる。
男がその唇で薄く色付く黒葉の唇に触れば、とろりと表情を緩ませて吸い付いてきた。

「ん、んちゅ、はむ、ぁ……ん、ふぅ、あひぃ……!?」
「黒葉さん、黒葉さん、可愛いですよ! お雛様ッ!」

深く舌を絡ませあい、唾液を互いの口で呑み合いながら口を離す寸前に黒葉の舌を咬む。
息も絶え絶えで口の端から唾液を垂らし、黒葉は全身を紅潮させながらくたりと意識を手放した。
その身体を国永とは違うベッドに拘束し、男達はそれぞれのブリーダーとサポートを決めていく。
元々集まったのは政宗の声かけがあったから。
彼らはクスリを服用した事は無いが、二人に苗床を植え付けるには栄養として男の精を注ぐ必要があった。
それで政宗は国永の連れてくるもう一人を神への捧げ物にする為、国永を手元に置く為に協力者を募る事に。
このクスリにはまず刷り込み要素という物があり、初めに見た人物を対象とする。
国永には政宗が、黒葉には阿部という人物が刷り込まれた。
後は快感を常に与えてクスリを常用させ、快楽に堕としていく手はずだ。

「ヒヒ、ヒヒヒ! 可愛いなぁ、くぅぅううにながぁぁぁあああああ!」
「黒葉さんの指、美味しい! むちゅ、はぶ、ぢゅるぢゅるぢゅるぢゅる」

男達は場の雰囲気と二人の意識を飛ばしたイキ顔に欲を募らせるのだった。