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スイートポイズン

 


鶴を自宅に監禁して3か月がたった。
相変わらず薬の余韻は尾を引いて、3日に一回は薬を求めて大暴れする。
そろそろ、鶴も限界だろうがここで薬を与えたら鶴はますます薬に依存してしまうから。
薬なんかに依存するくらいなら俺に依存すればいい。
そうして、俺という最も危険な甘い毒に全身を侵され堕ちればいい。
鶴、可愛い俺の愛しい弟。
一頻り暴れた鶴を抱きしめると涙を零しながらぐったりする。
意識はない様で、閉じられた瞳から涙が零れている。
その涙を舐め取り、うっとりと微笑む。
「愛してるよ、鶴。
骨の髄まで俺の愛で満たしてあげる」
額にキスして、頭を撫でれば擽ったそうな身をよじる。
弟ってこんなに可愛いものなのか?
いや、鶴が特別可愛いんだろう。
じゃなきゃ世の中の兄弟はみんな番になるはずだ。
「くににぃ……」
舌足らずに俺を呼ぶ愛しい声。
ああ、可愛いなぁ。
思えば鶴が最初に喋った言葉もにぃだったな。
ハイハイしながらにぃにぃ言ってて猫みたいだったと思ったのを思い出した。
「鶴、愛してる」
鶴は自分の体が汚れたと気にしてるみたいだけど、俺は全く気にらない。
この状態なら鶴をしつけ直すのに都合がいい。
鶴を犯した奴らは皆俺が始末した。
殺さないだけありがたいと思ってほしい。
大体その程度で嫌いになるくらいならもっと前に興味をなくしてる。
可愛過ぎて、愛し過ぎて、もう絶対に手放せない。
君がわるいんだからな…鶴?


「鶴、俺は明日まで用事があって帰れない。
飯は鶯が来るからちゃんと食べるんだぞ?」
国兄は俺の頬を撫でながら笑った。
「国兄、居ないの?俺一人?」
「そう、鶴一人だ。鶯も忙しいからな」
「黒兄は?今日は来ないの?」
「黒葉は夜勤。というか鶴、君は俺がいるのにほかの男を頼るのか?」
「たよら、ないっ、おれには、兄ちゃんだけだから」
「そうか、なら俺は鶴を信じるよ。
そうだな…ちゃんといい子にできたらご褒美をあげような」
頬にキスを落としながら、ピンクのうさぎのぬいぐるみを渡された。
「俺の代わり、君が寂しくないように」
赤い目のピンクのうさぎを抱き締めれば国兄が優しく笑いかけてくれる。
「ん、寂しいけど、我慢する」
ぎゅっとうさぎを抱きしめて兄を見送る。
薬の禁断症状さえ出なければきっと乗り切れる。
国兄が帰ったらいっぱい褒めてもらうんだと考えながら兄の背中を見送った。




「鶴、鶴丸、起きろ」
「ん…うぐ?」
眠い目を擦り起き上がる。
目の前には幼馴染の姿があり、安心する。
「飯だ、食えるか?」
「たべる」
起き上がった時にじゃらっと重たい鎖の感触。
国兄の愛の重さに愛しさを感じる。
手が震えて、上手くスプーンを掴めなくて、美味しそうなチキンカレーをこぼしてしまう。
「う、あ……」
いつもは国兄が食べさせてくれていた。
兄の愛に、甘えていた。
俺は国兄がいないと何も出来なくなってしまった。
「……うぐ、おれ、けっこう、だめ、かも……」
兄の愛を深く思い知ったからこそ、今この場に兄がいない事が怖くて仕方ない。
このまま帰って来なかったら、俺はきっと生きていけない。
「国永…黒葉も着いていたのに、鶴に一体何をした?」
鶯は珍しく怖い顔をした。
「うぐ?」
「国永は必ず帰ってくる。
今の俺に言えるのはそれだけだ。」
鶯が頭を撫でてくれる。
それが心地よくて、目を閉じた。


カレーをなんとか食べ終えると鶯が帰ると言うので帰る前にトイレに連れて行ってもらい、水の入ったクーラーBOXをベットの近くに置いてもらう。
部屋の中なら行き来出来る長さの鎖。
その鎖を抱きしめて、暇だからテレビをつける。
それがそもそも間違いの始まりだった。
たまたま付けたテレビでやっていた洋画をただなんとなく眺めていたら、所謂濡れ場が始まり、体がムズムズしてくる。
「やだ、どうしよ、くにに、たすけて」
ぎゅっと兎のぬいぐるみを抱きしめて熱を逃がそうと身体をよじるが、発情した体の火照りはそう簡単に収まりはしない。
「いやぁ、や、あんっ…だめ、なのに…」
するするとパジャマを脱いで裸になると後孔に指を入れて掻き回す。
「あぁ、んッ、はひっ、きもち、あぁん!」
気持ちいいところを掻き混ぜていけば快感が後から追いついてくる。
だが、足りない。
もっと奥深く、指じゃ届かない奥を硬くて太い物で無遠慮に突き動かされたい。
「あっ、ああ…たりな、もっと、おちんぽほし…」
ふと、部屋の奥にあるクローゼットに目がいった。
あそこには国兄に抱かれる時にたまに使う玩具が入っていたはず。
いけない事だと判っているのに、その誘惑がに足が自然と動いてしまう。
「ひっ、あ、あ、おちんぽ、だめ、いけない、のに……こんなの、だめ、なのに…」
引き出しを開ければバイブやローター、ディルドがいくつも入っている。
俺はそれを床にぶちまけた。
「ん、あ……国兄、国兄のおちんぽみたい、あ、はぁん、欲しい、国兄、国兄くににぃ、すき、あいしてる」
ディルドを夢中になって舐めながらバイブを後ろに宛てがい、一気に押し込もうとしてはっとした。


『俺は鶴を信じるよ』


「あっ、あ……くに、にぃ」
二度と約束を破らないと誓った。
国兄を悲しませたくない、裏切りたくない。
国兄以外のものなんていらない。
床に散らばった玩具を眺めながら兎をぎゅっと抱きしめる。
「くにに、くににぃ……」
体の熱は収まらない。
ふと、目の前に薬の入った瓶が転がっていることに気が付いた。
おそらくは先ほど、引き出しの中身をぶちまけた時一緒に出てきたんだろう。
「おく、すり!」
薬の瓶に手を伸ばして蓋を開ける。
中には2錠の薬が入っていて、待ちわびた薬に歓喜し、口の中に放り込もうとして気が付いた。
国兄が、こんなところに薬を隠すだろうか?
いくら頭がぼんやりしているとはいえ、もう大分落ち着きを取り戻してきた。
そして部屋中は歩き回れるほどの鎖の長さから、ここに薬を隠して俺が見つけられないと思う程、国兄は浅はかではない。
ならばこれは罰だ、耐えなければならない罰。
「おにい、ちゃ……」
だんだん我慢が効かなくて、今すぐケツにこれをぶち込みたい気持ちを抑える。
脂汗が滲み、口から涎が零れても、みっともなくはだがで床を這いずり回って爪を立てても、爪が折れても、裏切りたくない一心で耐えた。
何時間そうしていたのか判らない。
爪はボロボロで床は引っかき傷にまみれていた。
そろそろ限界を感じていた頃に、ドアか開いた。
ふわりと柔らかな笑顔を浮かべて、国兄は俺を見下ろした。


 


「あーあ、こんなに散らかして…」
床に散りばめれた玩具、薬の入ったボトル。
裸のまま床に這いつくばる可愛い弟。
「あ、あ…くにに、おかえり」
焦点の合わない目で、唾液や汗で汚れた顔をふにゃりと緩める。
「国兄、あのね、あのね…おれ、ちゃんと我慢したよ?
ちょっとだけ、舐めちゃったけど、お尻に入れてない、ホントだよ、おくすりも、ちゃんとがまんした」
餌の前でお預けされた犬みたいに尻尾を降ってよだれを垂れ流す。
これからご褒美が与えられると信じて疑わない可愛い俺の雌犬。
薬のボトルからたたしかに薬が2錠残っていた。
万一鶴が飲んでもいい量しか残していない上、本来なら飲ませるべき薬。
それもきちんと我慢した様だ。
床を引っ掻いた爪はボロボロで、散らばった玩具も、鶴の目の前のディルド以外は使用した形跡も見れない。
「うそ、おもうなら、調べて。
おれのおまんこ、くにに、いがい、いらない」
尻を突き出すように俺に向けながらふにゃりと笑い孔を広げる。
この愛しい弟は俺を受け入れる為だけに、薬も玩具も我慢したというのか。
最高じゃないか!
随分長いことマテをしてきたが、もう頃合だろう。
自分の意思で耐え切れるまで回復したなら、もう薬は殆ど抜けている。
「じゃあ調べさせてもらおうかな」
そう言ってズプッと指を後孔に挿入していく。
「ひぐぅ!ひゃあ、あんっ」
挿入を歓迎するかのようにびくびくと体を震わせて歓喜の声を上げる。
きつく締めつけられたそこは先ほどまで玩具で慣らしてたとは思えないきつさで、嘘はついていないのだろうとすぐにわかる。
だけど、ここで簡単に認めてはいけない。
「ん、随分と柔らかいな?ほんとに使ってないのかい?
それとも、俺以外のちんぽにがばがばにされた?」
「!っあ、は、ああ、ひっ、ごめ、なさ…いや、いや、だ、やめて、いや!
もういや、たすけ、くにに、おにいちゃ…たすけ、い、いやぁあああああ!!!」
混乱した鶴は何かを思い出したように急に暴れだして俺から逃げようとする。
「俺から逃げるなんて悪い子だな、鶴は」
「あ、あ……わるい、こ…おれ、わるいこ…?
くににぃは、わるいこは、いや?いらない?おれ、すてられるの?」
「そうだな…どうしようか?兄ちゃんのいうことも聞けない悪い子は…捨ててしまおうか?」
「あ、や、やだ、いや、やめて、おねがい、何でも言うこと聞くから、お願い、おねがいします、捨てないで、捨てないで…」
泣いて縋る鶴が愛しくて、可愛くて、哀れだ。
「捨てないでほしいなら、証明してくれないか?
君が誰を一番に愛しているのか、誰のものなのか…」
鶴は困ったように俺を見上げて、おずおずと俺に抱き着いてきた。
どこまでしていいのか、判らないようで、俺の反応をいちいち確認しながら、唇を重ねてきた。
たどたどしい舌使いのキス。
そっと恋人つなぎされる手。、
とろんと潤んだ蜂蜜色の瞳が俺だけを映す。
「鶴は、国兄を愛してます。鶴の心も、体も、全部国兄だけのものです。
将来の夢は、国兄の…お嫁さんに、なること。
国兄の子供を、産むこと…国兄…おにいちゃん…
俺の一番大切な旦那様。
何でもします、いうこと聞きます、えっちも、くすりも、がまん、します…だから、俺を捨てないで…俺以外の人のものにならないで」
涙をこぼしながら、鶴は俺に泣きながらそう訴えてきた。
「捨てるわけないだろ、こんなに可愛い鶴をどうして手放さなきゃいけないんだ?
他の奴にくれてやるくらいなら、足の腱を切って、鎖でつないで、俺以外の元にいけないようにしてやるさ。愛してるよ鶴。
俺の可愛い弟」
ぎゅっと鶴を抱きしめてやれば、鶴は俺に縋りついて声をあげて泣いた。
「くににぃ、ごめんなさい、おれ、おれ…」
「いいんだ、もう。
鶴は俺の言いつけを守って、ちゃんと薬もえっちも我慢したもんな?
だから、これはご褒美だ」
「へ?あ、ひゃああああああっ!!!?」
鶴を床に押し倒して、固く閉ざされたそこに無理矢理に押し込んでいく。
鶴に禁欲させていた3か月間一度も開かれなかったそこは俺の挿入に耐えきれずに裂け、血を滴らせた。」
「ああ、ごめん。切れちゃったな?」
「ひぐ、あ、い、いいの、くににぃなら、いたいのも、きずも、うれしい」
「ふふ、そうか。鶴はいい子だな。
3か月ぶりの兄ちゃんのちんぽはどうだい?」
「は、あんっ、きもち、くににぃの、かたち、おぼえる、から。
もっと、もっとおちんぽちょうらい?
つるのまんこ、ぎゅうーってして、おぼえるから、ぜったいわすれないから」
鶴は内壁を絞めつけ、形を覚えるように腰を揺らした。
「そうかい?じゃあ俺の形をしっかり覚えておいてくれよ?
このちんぽじゃないとイけない体にしてやるからな?」
「ひゃああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!
おく、ちゅゆのおく、くににぃのおちんぽ、ちゅーしてる」
「ほらほら、もっと力いっぱい締め付けないと形は覚えられないぞ」
「ん、はぁ、ああんっ、くににぃ、くににぃも、おれのおまんこ、おぼえて?
おれのおまんこで、きもちよくなって?」
「当たり前だ、君以外のおまんこなんで気持ち悪くて使えない。
鶴は俺のちんぽけーすになってくれるんだろ?
なら、このおまんこ以外俺には必要ない」
「かの、じょも…?」
「彼女は君だろ?あ、今までの彼女の事か?
大丈夫、女の穴なんか使ってないから。
俺がずっと使いたかったのは今入ってるこれだけだぜ?」
「ん、うれしぃ…ちゅゆね、くににぃのためにおまんことっておいたの。
ちゅゆのはじめて、ぜんぶくににぃにあげるの」
にっこりと笑った鶴が、嬉しそうに俺の頬に手を伸ばしてくる。
愛しさで胸が張り裂けそうになる。
「ちゅゆ、くににぃのめすになるために、うまれてきたの。
だから、くににぃいがい、いらない」
「…馬鹿だな…そんなこと言ったら、もう二度と手放してやらないぞ?」
「いい、国兄といっしょなら、どんなばしょでも、てんごくだから。国兄、国兄、あいしてう、おれ、国兄のおよめさんにして?めすにして?
おれのおまんこ、ちんぽけーすにして?」
「はは、いいぜ。随分とえっちなお嫁さんだな?
俺も頑張らないとな」
頭を撫でて、キスをして、足を抱えて鶴の奥を突き穿つ。
鶴が狂ったように悲鳴を上げて、唾液をこぼして痙攣する。
俺は鶴の腕を掴んだまま鶴の腹を穿ち続けた。
何度も何度も中に射精して、どろどろになった精液が鶴を犯すたびに溢れてきても止められなかった。
俺の鶴、可愛い鶴。
ようやく戻ってきた愛しい小鳥。
鶴はもう、俺なしじゃ生きれない。
鶴はもう、俺以外ではイけない。
鶴はもう、俺だけの雌。
俺の子種を擦り付けて、腹いっぱいにして、鶴が気を失ってようやく鶴の中から自身を引き抜いた。
「ふぁ…くににぃのおちんぽ、みうく、おいしい…」
むにゃむにゃと寝言をつぶやきながら可愛らしく微笑む鶴の寝顔を眺めながら、鶴をベットに寝かせる。
目が覚めたら、いつもの鶴に戻っている。
いや、以前とは少しだけ違う。


鶴は完全に雌落ちした、俺の生涯の番になったんだから
俺という甘い甘い毒に犯されたことも気が付かずに

催眠コネクト12

ベッドの上にそっと下ろしても、国永のぼんやりとした様子は変わらない。
頬を押さえる手に手を重ねた瞬間、全身を跳ねさせた国永はようやく視線を宗近へと向けて怯え始めた。

「ぁ……くに、くに……わるいこ、ごめんなさい……」
「ああ、確かにお前は悪い子だった。庭と温室だけで門から外に出るなという俺の言葉を聞かなかった」
「ち、ちが……くに、いちばんきれい、おはな……むねちかに……」
「一番綺麗? ……それを探したのは、俺の為だと?」
「……むねちか、おしごと、おはな、がんばって、いいたくて」

その為にあんなにも庭中を駆け回って居たのかと、申し訳ない気持ちになる。
テディベアに仕込んだGPSで居場所を常に探っていた宗近は、庭を大きく縦断する印に気付いていた。
そして、それが突然庭から裏の小道に飛び出ていった事も。
驚くと同時に急いで駆けつけたが、タイミング悪く悪漢に襲われる直前だったのだ。
ひやりと肝が冷え、そして腹の底から煮えたぎる物が溢れ出るかと思った。
本人の意思と関係なく、いつどこで悲劇が繰り返されるかと、気が気では無かった。
幼い子供は大人の顔色をよく窺う物。
話には聞いていたが、こうも思い知らされる物だとは気付かなかった。

「そうか、お前は俺を……ちゃんと見ていてくれたのだな。国永、外へ出たのは悪い事だが、お前の気持ちは悪い物ではない。いいこだな、国永」

微笑んで抱き寄せ、頭を撫でれば暫く体を震わせていた国永も、直に震えを止めて宗近に縋ってくる。
そうして幼い様子を見れば、先ほどの手が出てしまった事が宗近には気がかりだった。

「頬を叩いてすまなかった、痛かったろう?」
「ふぁ、あ!?」

せめてものまじないに、と手を出した頬に触れるだけのキスをすれば、国永から思いもよらない嬌声が上がる。
驚いて顔を見てみれば蕩けた瞳と出くわし、腹の底がざわざわと疼くのを感じた。
思い起こせば半年ほど、互いに触れ合う機会を奪われ続けたのだ。
正直に言えば今すぐに抱きたいと思っているが、しかし相手の心は子供返りをしている状態。
既に二週間ほど様子を見ているが、ここまで変化の兆しが見られないと長期戦を覚悟した方が良いとノインにも言われていた。
だからこそ、突然の変化に驚いた宗近は触れそうになる手を堪える。
これは今、どんな状態から起こっているのかと。

「くに、なが……?」
「ん、むねちか……どしたの?」
「……お前は先ほど、俺のモノを口にしようとしたが……誰に教えられたのだ?」
「だぁれ? えっと、しらない…………でも、わるいしたら、ごめんなさい、するって……」
「悪い事をしたら? そう、教えられたのか」
「んん、ゆるす、ほしいなら……ほしいなら、ほうししろ。おまえはどれいだ、そうするのがとうぜんだ……」
「国永?」
「おまえはおれのせいどれいで、つまなんだからだんなのいうとおりにしろ。よつんばいでケツを振って誘え淫乱な雌犬め、ファックを強請――」
「国永ッ!!」

再度名前を呼べば、壊れたオモチャの様に声を止めて口を開いたまま固まった。
今のが全てあの男に仕込まれた言葉だと言うのなら、三度巡って三度殺そうと宗近は決める。
国永の旦那は宗近であり、しょせんあの男はその座をかすめ取ろうとした悪害でしかない。
だがそうであるからこそ、許しがたい所業だった。
国永の顎に手を掛けて顔を向けさせると、宗近はかじりつくようにキスをする。
チュ、チュッと音を立てて国永の口腔内に舌を入れると、小さな舌と絡め、甘噛みし、吸い取るように蹂躙した。
歯列をなぞって上顎をなぞったところで、固まっていた国永の体が震え出す。
クチュクチュと音を立てながら銀糸で繋がる口を離せば、甘えた表情で目をとろんとさせていた。

more...!

催眠コネクト11

投げ出された体。
地面は白く、そして凍えついている。
音は、聞こえない。
「自分」は誰?
声は、出ない。
悲しい。
月が泣いているのに、傍に居られない事が。
寂しい。
呼ばれているのに、君が分からない。
恐ろしい。
どうか、抱き締めて、温めてくれる人が居れば。
安心して、眠れるのに。

ここに大きなテディベアを貰い、国永は両手に抱いてふかふかと感触を楽しんだ。
大人の成人男性が抱き上げて丁度良いそれは、専属のスタイリストに用意をして貰いGPSを埋め込んだもの。
座標情報や個人のデータも入っているが、それを知る事が出来るのは宗近のみとなっている。
迷子防止と国永の身を守るための判断だった。
しかし見た目は愛らしいテディベアで、国永は喜んで宗近の書斎へと足を運ぶ。

「むねちか、むねちか!みてみて、おっきいくまさん!ここがくれたの」

机に向かってペンを動かしていた宗近は、国永の呼び声を聞いてペンを置いた。
振り返れば、部屋の中程まで進んで嬉しそうに無邪気な笑顔でテディベアを見せる国永。
こうやって無垢な表情が見れるのは、良くも悪くも記憶が無いからだ。

「おお、随分と大きいな。はっはっは、これなら国永を守ってくれそうだな? よろしく頼むぞ、くま殿」
「くまさん、まもる? むねちか、おしごと??」

テディベアを横に置き、寂しそうに眉を潜めて腰に抱き着く国永。
まるでおねだりをされているようだと不埒な事を考えた宗近は空咳をひとつし、国永の頭を撫でる。

「すまんな、まだまだ終わりそうに無い。俺の仕事は本を作る事だと教えていたか?」
「う? うんと、もじをかく! ほんになるのー? すごいすごい!」
「国永は本は好きか?」
「うん、だいすき! あのね、つるはまだよめないから、くにがよむの。それで、おねんねするの」
「ああ、朗読か。確かに、長い事続けていたと聞いたな。お前の声が心地よかった、とも」

宗近がそう言えば、得意げな顔で笑ってぎゅうと抱き締めてぐりぐりと腹に顔を埋めてきた。
正直に言うと愛しい妻と引き離されていた半年間、右手を相方に静める事はあったのだが。
今は手元に居り、更に一番信頼しているとばかりに抱き着く事や、こうして遠慮の無い甘えを見せる事がある。
その度に宗近は自分の欲と戦う事になるのだが、国永が落ち着きを取り戻したなら徐々に、と考えていた。

「ねぇねぇ、いっしょ、だめ??」
「むう……すまんが、集中しないと書けぬのだ。国永と遊びたくなってしまうからなぁ」

そうすると仕事が終わらないからいつまでも遊べない、と説明してようやく国永は宗近から離れる。
しょんぼりとテディベアを抱え直す様は愛おしく、今すぐにでも抱き締めたいが我慢をした。
やがて何かを思い付いたらしく、無邪気な笑顔を浮かべて国永が口を開く。

「あのね、えとね、おわるまで、くまさんと、おそといってて、いい? おはな、とってくるの!」
「ああ、良いぞ。ただし門から出てはいけないぞ? 家の庭と温室だけだ。
もし知らない人が話しかけてきたら、振り向かずに家の中に入って俺を呼ぶんだぞ?
わかったな?それができるなら言ってよいぞ?」
「はーい! むねちかに、おはなとってくるね? しらないひと、はなさない、おうちかえる、
むねちかよぶー! くに、できるよー? おしごと、がんばってください!」

至福の笑顔を浮かべ、テディベアの手を取って行ってきますと上下に振る様も愛らしく、宗近は暫く口を覆ってこみ上げるモノに堪え忍ぶ。
更にお花を取ってくるのが宗近の為だと、幼いながらに応援しようという純粋な気持ちが見えて嬉しかった。
全幅の信頼も、隠さない甘えも、純粋な子供らしさも、宗近の国永は全て押し隠して見られないようにしていたから。
その中で許される範囲に甘えさせ、信頼をされていたのも確か。
だが基本は鶴丸の兄として、絶対的な信用を突き崩さない為に感情を押し殺すという孤独な道を選んでいた。
そこに潜む寂しさに、あの男が付け入ったのだろうか。
信用を崩せない恐怖に、あの男が割り込んでいったのだろうか。
押し殺していた切なさを、あの男が……。

「国永を無理矢理暴きおって……殺しても殺し足りぬわ」

剣呑な赤い瞳でもって、宗近は机に向き合うのだった。



外に出た国永はテディベアと手を繋いで庭を散策していた。
桃色や橙色、白色など色とりどりの花があって困ってしまう。

「あのね、くまさん、おはななにいろがいいかな?」
『いちばんきれいなのがいいよー!』
「そうだね、いちばんきれいなの、さがそー!」

テディベアの声も自分で出しながら、考えをまとめていった。
一番綺麗なの、と決めたからにはきっと目に入った瞬間に分かるだろう、と直感勝負である。
草をかき分けたり木の下を探したりと庭中を探し回るがそれらしい物は見当たらず。
何度も同じ場所を探し続けたために疲れた国永はテディベアに向かって話しかけた。

「きれいなの、どれもきれいで、みつからないね」
『うーん……あ! おはなのおうちはどうかな? むねちかいってた!』
「くまさんすごーい、いってみよー! くに、ちかみち、しってるよー!」
『わあ、くにくん、すごーい!』

きゃっきゃとはしゃぎながらぬいぐるみの手を持って庭を走る。
そうして家の周りを囲む壁沿いに隙間なくある生け垣へと頭から分け入り、スルスルと中を進んでいった。
やがて葉っぱの小道が途切れると、それは石壁の向こう側へとぽっかり出口を見せている。
テディベアを引っ張り上げて立ち上がった国永は、周りを見回した。
それはいわゆる路地裏と言える場所で、見覚えのある風景では無い。
迷いなく進み始めた国永は、小道が広い通りと面している場所まで来て、やがて足を止めた。

「ここ、どこ?」

お花のお家と呼んでいる温室は見当たらず、どころか知らない人や車の通りさえある。
今の国永には完全に見覚えの無い光景に、しばし興味から見惚れた。
周りに居た人達は、小道から突如現れた美形男性に目が釘付けになる。
ぼんやりとしながら、プレゼントだろうか?一抱えもあるテディベアを持ったまま涼やかな表情で立ち尽くしている。
これは話しかけるチャンスではないだろうか?
道に迷っているならお近付きになる良いタイミングだ。
そう思った女性は国永の涼やかな紅い瞳に惹かれる様に話しかけた。

「あの、どうしたんですか? 道に迷いました?」
「あ、あの! 私、一目惚れで! お名前と、お話をしたいんですが……」

次々に知らない女性に話しかけられた国永は一度だけ目を大きく見開いて首を傾げる。
何故自分に話しかけるのか、それが分からなかったからだ。
話すのは家族以外、顔を見るのも初めてだ。
訳も分からなかった国永だが、一つだけ分かった事がある。
宗近と約束をした事だ。

「くに、しらないひとと、はなさない、おうちかえる、むねちかよぶ」
「くに? くにって言うんですか?」
「あ、怪しい者じゃないんです! 本当、少しお話ししたいだけで!」

大きく横に首を振った国永は憂い顔で再度口を開く。
女性達はこのチャンスをモノにしようと必死だ。

「おうちかえる、はなさない!」

テディベアを抱き締めて女性達から逃げるよう、足早に去って行く桜色の後ろ頭を見てため息を吐いた。
あんなにいい男はそうそう居ない、居ても誰かのお手つきだろうと。
そうして女性達は思うのだった、何故舌っ足らずな幼い子供の様に話し、むねちかという人を呼ぼうとしたのだろう、と。
一方、国永は逃げていた。
知らない人は怖い、知らない場所は怖いのだと知って混乱をしている。
何故か、これが最初では無い気がして怖かった。
通りから小道に入り、見覚えのある場所を探そうとしてどんどんと家から離れていく。
それに気付かない国永は、ひたすらに宗近の姿を探していた。
そうしてドンッと何かにぶつかった時、それは宗近だと盲目的に信じて笑顔を向ける。

「むねち――か……じゃ、ない? だぁれ?」

笑顔から直ぐに不安な表情へと変わり、得体の知れない恐怖に涙目になった。
国永がぶつかったのは男で、人の良さそうな笑みを浮かべながら肩に手を置いて離さない。
その後ろにも二人ほど、こそこそと何かを話し合っている男達を見つけ、目が合った瞬間に悲鳴を上げそうになる。
怖い、これは駄目だ、逃げないと……いや、逃がさないと、捕まったら、捕まったら?
何かあったように思うのに、上手く思い出せない。
それどころか体が震えて、声も上手く出せなくなる。

「どうしたの? こんな所で、危ないよー?」
「え、あんた男? 凄い、美人だから女かと思ったよ」
「あ……う……」

震えて腕の中のテディベアを抱き締める美丈夫に、男達は生唾を飲み込んだ。
潤む紅い瞳で見詰められ、声を出そうとパクパクと開く唇は薄く色づいて、桜色の髪は儚さを引き立てている。
全体からわき出る危うい雰囲気は、自分だけに縋らせたくなる様な保護欲と、壊してしまいたくなる様な支配欲をかき立てた。

「大丈夫だよ、俺達が居るからさ」
「そうそう! あんた、名前何て言うの?」
「むしろこんな通りを一人で歩いてたら、暴漢に遭いかねないぜ? さ、一緒に行こう」
「あ、や……くに、はなさない……はなして」

完全に怯えている国永はそれだけを言うと男達から逃げるように後退る。
しかし多勢に無勢、今の国永では男達を振り切る脚力も自信も無く、見る間に囲まれてしまった。

「へぇ、くにちゃんって言うの? 可愛いねぇ」
「すっかり怯えちゃって、俺等悪者みたいじゃん?」
「事実、悪者となりたく無ければその子を離すのだな」

突然聞こえた声に男達が振り向けば、そこには肩で息をしている単衣姿の男が立っていて、

「――むねちかっ!」

掠れた声で、しかし嬉しくてたまらないと言わんばかりの弾んだ声に全員が再度国永を見ようとし、出来ない事に気付く。
何故かは分からないが、目の前の剣呑な光りで赤い瞳を映す微笑んだ美丈夫から全員目が離せないのだ。
国永は何も気付かないかのように緩んだ手の隙間から抜けだし、テディベアすら忘れて宗近の胸に飛び込む。
それを冷たい表情のまま、宗近は見下ろした。
しかし、服の胸の辺りを両手で握り締め、肩を震わせて静かに泣く様はあまりにも不憫。
ひとつため息を落とすと、顔を上げさせないよう頭を撫でて押さえながら抱き締める。

「国永、お前が遠くに行くから心配したぞ? 何故言い付けを破って外に出たのだ?」
「ひっ、ちが、おはなのおうち、ふ、ふぇッ、むねちか、むねちか……!」
「帰ったら一度お仕置きが必要だな。……お前達、この事は忘れて去ね」

宗近の赤い瞳に浮かぶ三日月が妖しく輝くのと同時、男達は全員体を痙攣させると虚ろな表情のまま小道から出て行った。
暫く泣かせるままに任せておくと、落ち着いてきた国永が顔を上げて宗近を見る。

「あのね、えっとね、こわかったの……しらない、いっぱいで、むねちかよぶって、まもるしようとしたの」
「だが実際には俺が来ねば、お前は掠われて居たぞ。俺は傍に居ろ、近くに居ろと言った。なのに……お前はまた、そうやって俺の前から消えるのか……ッ!!」
「むねちか……ごめんなさい、ごめんなさいッ! ないないしないで、こわい、まって、いっしょにいて……!」

離れる事を前提とした言葉に、宗近は頭に登った血が今度は下がってくるのを感じた。
これほど心配をしているのに、どれほど身を案じていたか知れないのに。
結局国永はそうやって、一人後ろも振り向かずに行くのかと。
ならば欲のままに暴力を振るっても良いだろうかと思った瞬間、泣きそうな国永が宗近の前に跪いた。
そうして驚き固まる宗近をよそに、着衣の前をくつろげて出てきたモノを舐めて口に含もうとする。
全身を恐怖に震わせて、普段は無垢な表情を凍り付かせて、濁った紅い瞳で、迷いも持たずに奉仕しようとしていた。

「ごめ、ごめんなさい……ないない、しないで……ッ!」

その口から漏れる悲痛な声と、一息に飲み込もうとしていく様の相反する姿。
吐き気を覚えた宗近は、次の瞬間には知らず国永の頬を殴っていた。
緩んだ着衣を整えて国永を見れば、殴られた頬を押さえて呆然と固まっている。

「国永、すまん……痛むか……?」

応えは無い。
自分がしようとした事に戸惑っている様にも、何があったのかよく理解出来ていない様にも見えた。
動きのない国永に耐えられず、宗近はテディベアを拾って国永に渡すとそのまま一緒くたに抱き上げる。
いつもなら喜んで抱き着いてくる腕も、密着する温かいぬくもりも、今は冷え切ってされるがまま。
怒鳴った事が原因か、それ以外に何かあるのか。
とにかく異常な状態の国永を匿いたく、誰にも見せない様にと家に着くなり書斎に引きこもった。
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