オレンジの獣。
 人魚姫Q(ハレリキSS)
 2012/8/6 22:20

 

 



 

「……溺れた俺を助けたのって……お前なんだろう?…人魚のリキッド」

 

 




 


「…………なん、で………そのこと……;」

「……知ってたよ。俺を助けたのは本当はソージじゃなくてお前だってこと」
「なっ…なんで…!?;お、俺…何も言ってないし…!!それに、何で人魚のことまでッ…!!」



 

―――ありえない
ありえるはずがない

 




「…知りたいか?何でわかったか」
「え?……う、ん…;」
「それはな……」




ぐっ!



 

ぎゅうぅっ…




「っ!?///;」
「……この感触だよ」
「はっ?///;」





「……お前を腕に抱きしめた時の感覚……ずっと何か引っかかってた。けど…思い出した。あの時、朦朧とした意識だったけど、浜辺で抱きしめた奴と同じだってな」





「っ……う…嘘……だ…///;それだけで…わかるハズなんてっ…///;」
「分かっちまったんだからしょうがねーだろ?なぁ、これってやっぱ愛かねぇリッちゃんv」
「ちょっ…、そ、そんなんで納得なんてできないっすよ!!///;」

 

 

 

 

 

 



 

「そうですよハーレム王子。テキトーなこと言ってないでちゃんと正直にリキッドくんに話さなきゃ」

 






「っ!?;あ…あなたは……っ」
「あ?んだよ、ソージか……何してんだよ。いいとこなんだから邪魔すんな。」



「酷いなぁ、それがわざわざ小船で助けにきてあげた僕にとる態度ですか?」
「助けに来ただぁ?」
「そうですよ。こんな岩場からどうやって城に戻るんですか?」
「…………」

「様子が気になって戻ってきて良かったですよ。まさか二人ともあの高さから海に飛び込むとは思わなかったですけど…僕が舟も持ってきておいて良かったですね」
「ケッ、そりゃどーも」




 

「・・・・??;」





「ほら王子、リキッドくんが混乱してるよ」
「あ?…あー……;」
「……ハ、ハーレム様…この状況はどういうことなんすか?;なんでここにソージ…くんがいるんすか?」




「……まぁ、その…聞いて気分悪くすんなよ。ソージはな…皇族の肩書きの裏で…商人もやってんだよ」
「…商人?」
「まぁ、あんまりいい意味の商人じゃねぇけどな…」
「??」







「まぁここまできたら全部さくっと話しちゃいましょうよ。リキッドくん、実はですね、浜辺でハーレム王子を見つけた時、僕…海へ潜っていく君をはっきりと見たんです」



「え"…!?;」





「夜だったし暗かったけどね。ハーレム王子が持っていたウロコを見た時に確信したよ。……これは裏でかなりの高値で取引されている、人魚のウロコだ…って」
「っ!?;」
「世間では伝説だと思われている存在も、裏の世界ではそれが実在するものだって知られていることは多いんです。だからこそ、こういった表沙汰に出来ないものに高値がつく」




「…つまり、ソージは闇商人ってやつだ。かわいい顔してほんとえげつねぇよコイツは」
「や…闇商人?;」




「僕はどうにかしてハーレム王子が持つそのウロコを手に入れようと、僕が助けたって嘘をついてハーレム王子に近づいたんです。…だけどそこに、君が現れたんです、リキッドくん」





「…………」





「あの時、海へ逃げるように隠れた人魚が、人間へと姿を変えて王子のもとへ来た……すごく面白いと思いませんか?人魚がいるという話はあっても、人魚が人間になれるなんて聞いたことないですからね」
「………」
「それで僕はハーレム王子に、あの浜辺で貴方を助けたのは、本当は僕じゃなくてリキッドくんですよって話したんです」




「…え、ええっ!!?;そ、それって、い、いつ頃……!;」
「ん?君がこの城に来てすぐ。ハーレム王子に会いに、僕もたまたまこの城に来てたんですよ。そしたら医務室に運ばれてる君を見て、ね」
「ああ…、んで、お前が気ぃ失ってる間にソージからそのことを聞いたんだ」
「……;」
「君が目が覚めた時、王子の態度がだいぶ違っていたんじゃないですか?」



「(…そういえば……浜辺ではすごく迷惑そうにしてたのに…ここにいていいって言ってくれたし…なんか優しかった……)」



「もっとも、その時に話したのは、王子を助けたのが本当は君だってことだけですよ。正体が人魚だって伝えたのは……実は今夜のパーティの時なんです」

 








 


…*……*……*…

 






『あー…あとよ、オメーにも後で渡すもんあるから』

『へぇ…?なんです?なにくれるんです?』
『うっせぇな!後でっつってんだろっ!』
『ふふっ、はいはいv

 ……と言いたいところなんですけど、僕そろそろ帰らないとなんですよ』
『あ?もう帰んのか?』
『ええ。うちのとこの王様がうるさいのでね。だからとっとと出すもん出してくださいv』
『…………わぁったよ。ほれ』




―――キラッ




『……これ……』
『お前が欲しかったのはこれだろ?』
『…気付いてたんですか』
『まぁな。あんま俺を見くびんなよ』
『…いいんですか?一つは指輪に使ってしまったから、これが最後の一枚なんでしょう?』
『別に構わねーよ。価値があるってのはわかったけど、別にただの魚のウロコだろ?指輪ももう作ったし、オメーには色々世話になったからな』





『…………』





『さて…。オメーも行くんじゃ、俺ぁリッちゃんとこにでも行くかな。あいつバカだから迷子になってそーだしな。それに…悪い虫がついてねーか心配だし』
『なんだ、心配ってやっぱりそっちの心配だったんですね』
『ったりめーだろ!!あいつは俺のモンだけど、まだおおっぴらに言ってねーからな!だから牽制の意味も込めて今夜国中に報告すんじゃねーか!』




『……ねぇ、ハーレム王子。そのウロコ…何の魚のだかわかります?』
『はぁ?知らねーよ、興味もねーし』
『そのウロコ、……リキッドくんのものですよ』




『・・・・・・は?』



『リキッドくんは、人間じゃないですよ。彼は間違いなく……人魚です』

 





『人魚って……オイオイお前、本気で言ってんのか?』
『………』
『…………本当なのか…?』
『だからそうですってば』
『……何でそれを今俺に言うんだ?』
『言ったらどうなるかと思いまして』






『・・・・・・・』





『…結婚、するのやめますか?』
『はぁ?バカ言ってんなよ。するに決まってんだろ!』



『……へぇ。彼が人間じゃなくても?』
『それが何の問題になんだよ』
『周りが黙ってないと思いますよ』
『オメーが黙ってりゃいいだけの話だ』
『言っちゃうかもしれませんよ?』
『そこまでバカじゃねーだろオメーは。………命は惜しいだろ?』
『わぁ、怖いなぁ』



『じゃあ俺はもう行くぜ』
『あ、王子。はいこれ』
『ん?……って、おいこれ今俺がやったウロコじゃねーか』





『フフ…持ってると誰かに喋っちゃいそうなんで、やっぱり返しときますvお礼ならいいですよ、どうせ国に帰れば王様からたっぷりと絞れるしvそれに…リキッドくんのものなら尚更、持っていたいでしょう?』




『……ソージ…』
『あ、それともう一つ言ってなかったんですけど……王子が浜辺で拾った真珠…それ、もしかしたら人魚伝説の真珠かもしれませんよ』
『あ?なんだそりゃ』




『真珠は"人魚の涙"って言われてますけど……あれ、あながち本当かもしれませんってこと』




『………』
『まぁ、今となっては僕はもうどうでもいいですけど。それじゃあハーレム王子、リキッドくんとお幸せにv』




『……たりめーだ、俺があいつを幸せにしてやるさ』

 






 


…*……*……*…

 

 

 






「・・・・・・/////」



「…まぁそういうことがあったんですよ。…誤解は解けましたか?リキッドくん」
「話すと長くて面倒だったけど……まぁそういうこった。俺がソージなんかと結婚なんざするわけねーだろ」



「……っ…だったら……」
「ん?」



「だったら!!何で言ってくれなかったんすか!!ちゃんと話してくれてれば、俺は…!!;」
「俺が話そうとするたびに走って逃げたのはどこのどいつだよ」





「う"っ……;だ、だからって!!じゃあ結婚のことは!?///;お、俺っ聞いてないっすよ!?普通そういうのはちゃんと相手に話して承諾を得てからするもんでしょ!!?自分の結婚式を当日まで知らないなんてバカな話があるかよ!!////;結婚っていうか、俺は付き人になるはずだろ!?何でいきなりそうなってんだよ!!だいたいっ、そんな国中に言っといて、俺が断ったらどうするつもりだったんだよっ!!!!」





「わぁスゴイ、一息で言ったね」
「ぜぇっはぁっ……ど、どうなんだよっ!!;」

 







 


「は?お前が断るわけねーだろ。俺にメロメロなくせに」

 




 

「っ…!!!!!////;」
「なぁリキッド…」




ぐいっ



ぎゅうぅっ



「っ!!!///;ちょ、ちょっと!!ソージくんがいんのに何してんだよアンタッ!!///;」
「あ?知るかよ。そんなことより…リキッド」




ぎゅっ…



「……これで、全部分かっただろ?今までのことも、…俺の気持ちも」
「………っ////」
「だいたいなぁ、言わなくても普通は分かるぜ?俺が好きでもない奴を自分の部屋の隣におくかよ。毎日部屋に通ってやって、こうやって抱きしめたりとか……お前だけだぜ…リキッド」



「……っっ////;……ハーレム様は……ちゃんと喋れるんだから…!大事なことは、言ってくんなきゃ……俺バカだから…分かんないっすよ…!///」
「…そうか、そりゃ悪かったな。じゃあ言うぜ…今度は逃げないでちゃんと聞けよ、リキッド」



「……///;」











 

 

 

「リキッド……愛してる。結婚しようぜ」

 















〜続く〜

 

 




****************
さっさとこの言葉を言ってれば良かったのに…←


19話に続きます。
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