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"愛してるぜ リキッド"
―――カシャンッ…
「(…………今……何て………?)」
「…リキッド…」
ぐいっ
ぎゅっ……
「っ!///;」
「…お前が好きだ……愛してる」
「――、っ!!」
バシッ!!
「…っ……!!;」
「リキッド…」
――この人は…何を言ってるんだ…?
好きって何
愛してるって何
それを言う相手は…俺じゃないだろう?
あんたには…あの人がいるだろう?
明日…あの人と結婚するくせに…何で俺にそんなことを言うの?
……ああ、そっか…ハーレム様は、色んな人に手出してたってマジック様も言ってたな……
じゃあ今のも…本気じゃないんだ
きっと俺に殺されないように俺を騙してるんだ
…騙されねーぞ…――
「……………(チラッ)」
バッ! …チャキッ
「……リキッド…」
「っ…!;(寄るな…来るな!それ以上近づいたら…本当に刺すぞ…!;)」
「…俺の話を聞く気はねぇか?」
「…………」
「……どうあっても、俺を殺すつもりか?」
「……(こくん)」
「…そんな震えた腕でか?」
「っ…!!;」
…カタカタカタ…
「……お前にゃ俺は殺せねーよ」
「………〜〜っ……」
「分かったらその剣を下ろして、俺の話を…」
「……、っ!!」
ダッ!
バァンッ!!
「あっ…!!おいコラ、リキッド!!待て!!!」
* * *
ダダダダダ…!
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…!;」
―――何だよ 何なんだよ
何で俺を抱きしめたんだよ
何で俺に好きとか言うんだよ
殺せとか言っておきながら…なんなんだよ…!!///――
"……お前にゃ俺は殺せねーよ"
――そうだよ…分かってたよ
俺には殺せない
殺すなんてできない
…今だって…好きなんだから…
好きで好きで
苦しいくらい大好きで…!
…そんな人を、どうして殺せる?
できるわけない…!
それに…全部俺の都合だもん
ハーレム様を殺さなきゃならないのは…全部俺の勝手な都合
俺が捨てた海へ帰るための……我儘
俺がそんなことしなければ
明日にはハーレム様は誰からも祝福される結婚式を挙げて
幸せに暮らせるんだ
あんなに俺のために色々と優しくしてくれたあなたの幸せを…俺に奪う権利なんてない
全部俺が悪いんだ
俺がここにいるから
俺が生きてるから
だったら………――
ガチャッ バン!
…ヒュゥゥゥ……
「…はぁ、はぁ、はぁ……;」
――ここから…海に飛び降りれば
泡になるのを待たずに この世から消えることができる――
…ダダダダダッ、バァン!!
「ぜぇっ、はぁっ…!っリキッド!!待てっつってんだよこのクソガキ!!」
「(……ハーレム様…)」
「はぁ、はぁ、はぁっ……っお前、なんか、勘違いしてるだろ!!とりあえず落ち着け!!俺の話を聞け!!」
―――ハーレム様……
あなたはいつもそうやって息を切らして俺を探して追いかけてきてくれるんだね
あなたがそんなにも優しいから
俺は勘違いをしてしまう
ごめんなさい
あなたの話は聞けないよ
聞いてしまったら
勘違いすらできなくなってしまう
だったらこのまま
最後にあなたがくれた言葉を持って
海に還らせてください――
『…しばらくは、ここにいても構わないぜ』
『痛くても、声も上げて泣けねーのはつれぇよな…』
『なんせこの俺様がついてるんだからな♪』
『…よく頑張ったな。さすがリッちゃんだ♪』
『しょーがねぇ、俺がエスコートしてやるよ』
『泣くんなら俺のとこで泣けよ。こうやって隠してやっからよ』
『……愛してるぜ、リキッド』
―…ありがとう
ありがとう
俺にたくさんの言葉をくれてありがとう
あなたの手の暖かさも腕の感触も
全部 忘れないから
だから
さよなら ハーレム様…――
「っ、リキッ…!!」
ドボーーン……!!
――これで 良かったんだ
ごめんなさいシンタローさん達…
結局こんな形でしか海に還れなかった
だけど俺は 幸せだったよ…――
ゴボゴボゴボ……
――がしっ!
「っ!?」
ぐいっ
―――ザバァッ!!
「ぶはっ!!はぁっはぁっはぁっ……!!;」
「っ…………!!;」
「はぁ、はぁ……っ、バカやろっ…誰が勝手に死んでいいなんて言った…!!ふざけんなよ!!」
「(…ハーレム様っ……な…なんで……)」
「くそっ…どっか岸は…!はぁっはぁっ……っ、あそこの岩場……!!おい、あそこまで泳ぐぜ!」
「(……なんで…ハーレム様まで飛び込むんだよ……一歩間違えたら…あなただって死ぬのに………なん……で………・・・)」
「っ、おい…リキッド!?リキッド!!馬鹿野郎っしっかりしろっ!!……くそっ!!!」
バシャバシャバシャ…
―――ザバッ!!
ドサッ
「はぁ、はぁ、はぁ……っはぁ……リキッド……リキッド…!!おいっリキッド!!」
ペチペチ ゆさゆさ
「しっかりしろ!!リキッド!!!」
「……っ…ゲホッ…!」
「リキッド…!!」
「(……あれ……俺…生きてる…?)」
「っリキッド…!」
ぐいっ
ぎゅうぅっ…
「っ…!///(ハーレム、様…っ…?///)」
「……ばかやろ……何バカなことしてんだよ……」
「……………」
「…でも…良かった……間に合って……」
くいっ
「…リキッド……オメーだけだ……・・・・愛してる・・・」
「……、っ…!!////」
ちゅ…ちゅっ、ちゅむ…
「〜〜っ!?///っ…、っ……!!///;」
「ンッ…リキッド……リキッド…」
……ちゅぷ、
「……リキッド……何度だって言うぜ…愛してる」
「っ………
………ハー、レム……さま……」
―――久しぶりに空気を震わせて耳に響いたのは
どこかぎこちない
失くしたはずの俺の"声"だった―――
〜続く〜
****************
本当にここまで長かった…!!
声を取り戻したリッちゃん、隊長の真意、その他もろもろの伏線……次回で全てがひとつに繋がる……はずです←