オレンジの獣。
 鶴の恩返しE(ハレリキSS)
 2012/6/4 21:08







 

"俺が機を織ってる間、ぜったいに部屋ん中を覗かないでくださいね"

 





 

 


〜鶴の恩返し〜

 

 




 

 

「…リキッド……お前………」

「……は…ハーレム、さん……;」

 


バサッ…



「お前…その姿は……」
「………だから、覗いちゃダメって言ったのに……」

 




 

「ハーレムさん…覚えてるっすか?俺と初めて出会った日の昼間……山の中で、ハーレムさんは罠にかかった鶴を助けたっすよね?……あれ、俺なんです…」



「……でも…あそこで逃がしたのは普通の鶴だったぞ…」

「あれは俺が姿を変えていただけっす。俺…親も兄弟もみんな普通の鶴なのに、俺だけこんな人間の姿で生まれた……ハッピーチャイルドって言うんす」
「…………」

「でもある時、赤い石を見つけて…そうしたら、普通の鶴の姿になったり、こんな風に羽だけ出せるとか…そういう力を持つようになってしまったんです」

「………」

「そうしたら、今まで人の姿だった俺にも優しくしてくれた仲間が、急に俺を怖がって避けるようになって……それからはずっと一人で旅をしてきたんです。……あの日、あの山の中で罠にかかるまでは」




「…!」

 

「俺……すごい嬉しかった……最初はちょっと怖いと思ってたけど、優しくて助けてくれたハーレムさんに……恩返しがしたかった」
「恩返し?」
「……最初は、ちょっとした家の手伝いや、ごはんの用意とかだけさせてもらうつもりだった。でも……ハーレムさんが、優しいから…///」
「優しいって……俺が?」

「うん…///俺、もっと邪険にされるかと思った…絶対迷惑だと思ったし……。でもハーレムさんは、"ここにいろ"って言ってくれた……。ずっと一人で、行く場所もなかった俺にとって、こんな嬉しいことなくって……もっと恩返ししなくちゃ、って…」

「…それが、機織りか」

 

「……そうっす。俺の羽を織り込めば、もっといい布が織れるとも思ったから、機を織るときはこの姿になってたんです。…だから、見られたくなくて………でも、もう遅いっすね」




バサッ……



「…おい?リキッド?」





「この姿を見られたら……もう一緒にはいられないっす。さよならハーレムさん……少しの間だったけど、本当にありがとう……俺、ハーレムさんに出会えてよかった……」
「待てよ…一緒にいられないってなんだ!さよならってどういうことだ!」

「言葉通りっすよ。じゃあ……ハーレムさん、幸せになってね…」

 

バサッ!

 

 









 


「っ、待てって言ってんだよ!!リキッド!!!!」

 

 






がしぃっ!!

 

 

 

 

「なっ…!?ハ、ハーレムさん!?離してっ…!!;」


「離したら行っちまうだろーが!!何勝手に言いたいことだけ言って行こうとしてやがんだよッ!!」
「だ、だって……!!」

「だいたいっ、姿見られたら一緒にいられないとか…何でそーなるんだっつーの!俺が一言でも出てけって言ったかよ!!」

「だけどっ……今まで、この姿を見られたら、大抵気味悪がられて…!俺、ハーレムさんにそんなふうに思われたくねぇもん!!嫌われたくねぇもん!!だったら…そう思われる前に、ここを出て…!!」


「…っ、だから!!俺の話を聞けっつーのこのバカ鶴が!!!」
「え……わっ!!;」

 





ぐっ

 







「ンッ……!!?///んっ…む、んぅ……ぷはっ…///」
「はぁっ………リキッド……」
「…ハ、ハーレム…さん……?///;」
「逃がさねぇ」
「え…」





「……………好きだ リキッド」



「っ…!!///う……うそ………」
「嘘でこんな真似しねーよ、しかもヤロー相手に………」
「っ///…な、何で……」
「知るかよ……だけど、もうお前がそばにいない生活なんて考えらんねぇんだよ……お前が俺を嫌いでも、俺はお前が好きだ……好きになっちまった。………今度はぜってぇ逃がさない」

「ハーレムさん……///」

「お前はどうなんだよ……俺に嫌われるのが怖くて出て行くって言ったよな?なら…これでもうお前が出て行く理由はなくなったぜ」
「っ……!!」
「逃がさねぇとはいったが……最後に選ばせてやる」
「え?」


「俺の気持ちを聞いても尚ここを出て行くか、…俺に好きだと言ってここに残るか」


「〜〜〜〜っ…!!///」

「ほら、選べよ……」
「……ハーレムさん………ずるいっ……!」

 

 

ぎゅぅっ



「…っ…そこまで言われて…出て行く理由なんて…どこにもないじゃんっ…!!///;」

「……なら……ここにいりゃあいい……」
「…うん………、ンッ…///」

 





ちゅぅっ…ちゅ、ちゅく…


「んっ…はふ、ハーレムさんっ…///」
「…まだ聞いてねーぞ。ほら、言えよ……」



「〜〜〜っ…す、き………好きっす、ハーレムさん……!!///」


「…俺もだぜ、リッちゃん……」

「ほんとに?ほんとに俺、ここにいていいの…?///」
「オメーが嫌だっていっても逃がさねぇよ。言っただろ?"出て行ったらブッ飛ばす"って…」
「ぁ……///」




 

「お前が何者でも関係ねぇ……恩返ししたいってんなら………一生俺のそばにいろ」


「…はいっ……ずっと、ハーレムさんといるっす…ずっと…///」

 

 

 

 









 

こうして、二人は二度と離れることなく、ずっと、ずーっと幸せに暮らしましたとさ。



 

めでたしめでたしv

 

 









 

 


****************
…というわけで、原作ではお別れしちゃいますが、隊長がみすみす逃がすはずもないですよね!^^

それにしてもまさかこんなに長く甘ったるい話になるとは思いませんでしたw
恐るべし日本昔話…!←


こんなにグダグダ長いのに、あと一つだけ書きたいことがあるので、後日談みたいな感じでおまけに続きます^^
日付変わる前にはそちらも更新できると思います^^


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