自分の魂の所有者は、どうしようもなくこの少女なのだと思った。



ずぶ濡れで、油のような艶を出した銀時の顔のなか、その眼が、まさに爬虫類のように蠢いている。髪も眉も艶をおびて洗われたようだ。
熱のある目に愛と激情がくるめき、銀時の汗ばんだ手のひらがゆるく自分の額を、そして、神楽の額のやわらかい髪を、熱を計るようにぬぐってやった。
あごを仰向けた神楽の、高熱を出した赤子のような桃色の唇が、ぷっくりと開いている。銀時の様子を、虚ろに窺うようにもみえる下目遣いに見開いた目は、恐怖の衝撃の後にもどこかふてぶてしい甘えがくぐもっている。


──ほうっ…と短い呼吸をつき、銀時はゆっくりと神楽の上に屈みこんだ。下肢はまだ繋がって神楽を押し潰しているが、ふくらはぎは解放した。そして、自分の脚をそろそろと伸ばしていって、繋がったまま神楽を横抱きに──…、ゆっくりと寝ころんだ。股関節を痛めていないといい、と今更ながら、悪かったと思う。



「──かぐら……」



銀時の暗紅色の、上瞼にひっついていた目を間近に見た神楽は、半ば開いた唇を、また泣きかけた子供のように歪めた。
こぶしを猫のようにして目をおおい、かすかに身を捩じってくる。
…──そんな拙い媚態に、神楽の香りが甘く燻る。銀時がその手を背後から優しくひき毟る。
暗い青い目がちらりと銀時を見て、歪んだ唇のままがっくりと神楽は顔を振り向いて、銀時の胸板に甘えるようにこすりつけてきた。


「っ…かぐら……」


それだけで息が荒くなった。


「……愛してる…」


わずかにうなずく神楽の頬に手をやってゆっくりと撫であげた。そのまま乱れた髪を耳にかけてやり、銀時はそこに長くくちづけた。



「俺はおまえだけだ、一生」


生まれかわっても。



首筋には真っ赤な歯形が付いている。そこにも慰撫するように舌を這わす。


「ふぅ…ぅ…」
「痛いか…?」
「……ぅ、」
「ここは?」


繋がっている秘裂に前から指を伸ばし、怒張のせいでさらにむぎゅっと盛り上がっている周辺の肉を、ゆっくりと撫で上げる。
つるつるのそこは、十五歳を半ばに過ぎてもいっこうに発毛の兆しが見えなかった。一生、少女のようなままでいるのかもしれないと思うと、銀時はそれにも異様に興奮する。
というか、神楽の全身は気孔がほとんどないように思えるほど、ミルク色の緻密な肌理が美しく、脇の下も処理せずとも全くのつるつるだった。手触りは魔的で極上、男を駄目にする肌だ。


「──痛い?」


わずかに顔色をうかがうように銀時を見てくる瞳に苦笑い、頬にキスする。何度も。何度も。


「ごめんな……でも、まだだわ」



かぐら



喉の奥ですすり泣く神楽の声がきこえる。
銀時がゆっくりと腰を揺すっていく。


「かぐら……好きって言って、オレのこと」
「ぁ……あ……」
「……すき?」
「うぅ…」
「銀さんのこと、すき?」
「ふぇぇ…っ」
「言ってよ、かぐら。…おねがい」
「う、ぅ……す、 き……」
「もっと言って…」
「……す きぃ」
「もっと……」
「ぎんちゃ…すき」
「うん、もっと」
「だい、すき」
「もっと言って」
「すきだヨォ…」


何度も何度もこうやって言わせて、満たされながら酷く渇いていく。
自分ばっかり求めているが、もうこれはどうしようもなかった。
神楽はどれだけ銀時が手塩にかけても、いっこうに、全ては銀時の色には染まらない。そういう女なのだ。
銀時は神楽のことをもっと愛したい。自分だけのモノにして、真実神楽を所有したい。もっともっと愛したい。何もかも。だから神楽も、何かもっと差し出してくれればと身勝手なことを想う。
でも方法がわからない。神楽はすべて差し出して、何もかもくれているのかもしれないが、逆にそうではないようにも思えてくる。
受け入れてもらって、手に入れて、処女をもらって、肉体をささげて、愛させてくれて、愛して、好きだと言ってもらって、好きだと言ってくれた。後ろの穴も、他も、すべてを屈服させる勢いで略奪も許されてきて、まだ何が欲しいというのか。強欲すぎる自分に銀時は絶望はしないが、胸が苦しくなる。神楽が欲しい。神楽が欲しい。神楽が欲しい。でもどこまで?


不安だった。


愛しているけど、これはすでに狂気だ。










fin


03/30 13:09
[銀魂]




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