おぼれるリボンの輝き







「わわわ! 落ちちゃうっ、落ちちゃうヨ〜!!」


笑いながら戯れるじゃじゃ馬娘が、後ろに傾けば傾くほど、自分の首にかじりつく力が必死になるのを内心微笑ってしまう。
いつも何を考えてるかわからないとか、臭いとか、意地悪だとか、だらしないとか、ニヤリとする以外笑えるアルかとか、むくむく指摘するこの娘を無邪気に笑わせて──イチャつかせる隙に。自然と自分もその薄い肩口で笑ってしまっている状況に、銀時はこっそり自覚した。


どれだけ、この自分だけの黄金に惜しみない愛情を傾けているか。


ソファの縁に座り、その膝に向かい合わせで抱っこした神楽が、銀時の頬をぶにぶに引っ張ってくる。
さらに耳を引っ張ったり、天パをわしゃわしゃ掻き混ぜたりと、そうして銀時が唇と唇を合わせて啄ばんだりする間にも──。
ほとんどムードのかけらもなく悪戯ばかりする小娘に対抗して、神楽の脇腹をくすぐってやる瞬間。ソレがあまりに過ぎるからと、さっきみたいに抱きしめたじゃじゃ馬娘ごと、上体を前屈みにして、長いこと唇を塞いだ。
何度もゆらゆら揺らしてやっては、より不安定にしがみつかせる。
そのままほとんど90度ちかく倒した体勢から、一気に起き上がり。呼吸をうながしては、今度は逃げるように膝のうえでむずがる小娘に、キス、キス、キス。そして再び隙をついて倒した。


繰り返される──、『おっき人形』 のようなじゃれあいに、神楽がはしゃぎ、キスの間にもけらけら笑いだした。それが銀時も楽しい。
一緒に遊べば何をしても喜ばれる。とはさすがに思っていないが、どんな些細なことでも気に入ると、際限なくねだるので、正直その際限がわからなくなる時もあった。
それでもいい加減あきてきたのと、長いキスの連続と爆笑に、息を上げる神楽をソファに押しつけた。


「ふくく」


まだ笑ってる。

生理的なものか笑いすぎなのか、眼に涙までためて笑う神楽を上から見おろす。
ぷにぷにした頬に片手をやって、そっとその甲で撫でた。
少しまじめにそこをうりうりすると、仔猫のように嬉しそうに頬をすりすりする。
気持ち良さそうに閉じた青い眼と、うっとりとゆるむ薔薇色の口もと…、乱れた呼吸に少し咳きこんだらしい…。
すべての仕草がひどく可愛らしくて、また口もとから頬にかけてがウズウズしだす。
みっともないくらいに弛みそうになる。


困った。


嗚呼、ほんとに困った……





これ以上なくやさしく微笑んだ銀時の顔を。
彼のおさない恋人は、笑い疲れた心地よい愛撫のなかで見ることはできなかった。





好きだよ、笑っちゃうほど。











fin


SSに放置するのは忍びなくて、こっちに。


07/25 19:04
[銀魂]




・・・・


-エムブロ-