アラビアの夜物語







真夜中が地球を西から東へとゆっくりと移ってゆくなか、少女は口をひらく。



残酷な宿し子という風情だった美しさは、まだまだ落ち着いた気配を生じることはなく。
途方もなく妖しい萌芽を潜ませて、その美しさはなお、昨夜とまったく同じに、素直なぎこちなさから驚くほど自由だった。


もう何年も前の神楽の姿、彼女の手ざわりを銀時はふと想い出していた。
神楽の背中の描く窪みを、腰のあまりの頼りなさを想い、絹のような、まだ大人になっていないような、禁じられた思春期を感じさせる陰唇の手ざわりを想っていた。


彼は少女の腰のふくらみにやさしくキスをした。


銀時は十三歳の頃からの神楽をほとんど知っていた。
その身体の未知に至っては、奥の奥まですべてを自分のモノにしなければ耐えられなかったし、当然何もかも暴いてきた。
あの頃の何もかも、未成熟な稚さからすべてを愛し、始まった。
早急に啄まれた蕾が、なお美しく異端に花開いた瞬間を独り占めにし、咲き誇るまでの時間を永遠に見つめていたいと想った。
それからの長い間すべて、瞬く間に今に至るまでの瞬間瞬間を、必死で愛してきた。
そしていま…──
それは確実に実を結び、新たな未知へと踏み出そうとしている。


神楽は仲間であり、娘であり、妹であり、恋人であり、妻であり、ときに母親であり、銀時自身でもあり、自分たちの子供の母親にもなるのだ。


銀時にとって女はもはや、神楽とその他でしかなかった。
神楽は銀時にとって全てだった。








愛は、か弱い葦を押し流す川のようだと言う

(誰かが、愛は飢えのようで終わりなく求め続ける疼きだと言う)











fin


09/13 15:46
[銀魂]




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-エムブロ-