それでは貴方は綺麗な恋をしなさいよ-2-







「おい、…」


「うっせーアル…オッサンのくせに。 疲れてんだよこっちはヨォー。とっとと始めて、とっとと終わらせるねコノヤロー」


………。


昨夜、保護者の副長と 『渡る世間は鬼ばかり』 のDVDファイナルシーズンをぶっ続けで見て寝不足だとか、俺の今日の依頼が真選組の邪魔にしかならなかったのが気に食わなかったとか、…不機嫌なのはわかる。ものっそよくわかる。
わかる…が───


「早くしろヨ、ほら」



どこぞの飲んだくれデスカ…











正直、この子がこういう奴であったことを失念していた。
部屋に入るなり突然服を脱ぎはじめたから、一瞬情けなくも意識が飛んじまっただろーが。


細く白い指先が、チャイナドレスの飾りボタンにするりと絡むのを見ながら、気づかれないよう嘆息を堕とす。
金色で刺繍されたそれを一つ二つと素早く外し、三つめまで外した神楽は、スリットの入った膝丈スカートの端をがばりと胸もとまで持ち上げた。そうして一気に脱ぐ。桜色の前髪が ふわり っと静電気で乱れ、小さな頭がひょっこり現れたと思えば、万歳していた腕を下ろすと同時に、重力に従ってさっきまで着ていた青いチャイナドレスがするりと床に落ちた。
一連の動作に無駄も執着も見えないから、コイツらしい。
というかイロイロ間違ってる。
まるで色気なんて見つけられないのに、激しく反応してしまう俺も恐らくはそうなんだろう。つーかそんな自分が怖い。


「何アルか」
「いや…豪快だな、 と思って」
「女は度胸アル。 つーかセクハラアルヨ」
「今からすることの方がよっぽどだと思うけど」


それに返る言葉は無かった。そのかわりに、鼻でふふんと笑って下着に手をかける。


「そう慌てることもねーだろ」


静止させて、俺がそれを外しにかかれば、神楽はもう一度、今度は音もなく笑った。不快だと思うよりも先に、自分のそれでコイツの唇を塞ぐ。
この表情はあまり好きじゃない。実はワーストスリーに入るぐらいイラッとくる。女の子なら女の子らしく笑ってればいいのにー…。その女の子を手篭めにして思うことではないのだろうけど。いつからそんな笑い方、覚えたんだよ。苦々しい気分でそう思わずにはいられない。
───といっても、不幸なことにそれを止めさせる術もないから。
だから、それが間違っていたとしても、繰り返すしかないんだろう。
まるで信仰を持つように。







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01/16 21:57
[銀魂]




・・・・


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