ファンム・アンファンの楽園







「銀ちゃん、どうして私だけ連れて行ってくれないアルか?」


新八は連れてってもらえるのに…。
口に出そうになったみっともない不平は、とっさに喉の奥にしまったけれど。こんな時、銀ちゃんは 「うーん」 と面倒臭そうに私を一瞥して、いつも以上にやる気のない顔をする。
それから口元を歪ませながら視線を落とし、ことさらニヤリと笑ってみせる。わかりやすい態度。
わかりやすすぎて、何度となく私を傷つける、銀ちゃんの態度。
だって銀ちゃんのそれは、私をガキだと自覚させる時に見せるものだ。私を小さな女のコあつかいする時に見せるものだ。


「何だよ、置いてけぼりは嫌だってか」


肝心の説明を省くズルさは相変わらずだ。


「別に…そういうわけじゃ…ないヨ…」


だけど、少々逃げの入った銀ちゃんの姿勢に、思わず拗ねたような声がでる。
銀ちゃんの困ったような声の響きも、自分の曖昧な言葉にも、今の私はイライラする。
ごまかされるのは好きじゃない。
口を濁す理由などたかが知れているのに。今さら何を渋る必要があるんだろうか。はっきりと言えばいい。
もう一度なんと切り出そうかと悩んでいると、銀ちゃんはそんな私をまじまじと見つめ、仕方なさそうに口を開いた。


「だってさー、お前…。 年齢制限にひっかかるし…」


さすがにラブホでの深夜の浮気調査は無理でしょ。ほら、前にもぶすくれてたじゃん。インモラルアルーとか言って。それに一応俺、お前の保護者だしね。メンツ保てないでしょ?


「新八だって未成年アル…」
「アイツはー…ほれ、男だし」


ラブホなんかで一日じゅう張ってたら、銀さん神楽ちゃんに興奮しちゃうかも!



「死ねばいいのに」



標準語にグサリときたのか、銀ちゃんの顔がひきつる。
ふん、と私は鼻を鳴らした。銀ちゃんはまた困ったように眉間にしわを寄せる。
しかし反撃を思いついたのか、その顔は唐突に人を食ったいつもの笑みに戻った。


「おまえは、俺の大事な女のコだからな。不満ですか?」



───んだヨ。


ばか、ばーか。










fin

これも続きの寵姫初期で。



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02/11 20:54
[銀魂]




・・・・


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