結局、僕が思い描く世界はどこにもない。
それは、大人になる前までの美化されたノスタルジーな世界だからだ。
僕はまだ、あの感覚を思い出せる。
失くしたくない感覚だ。

なぜだかわからない。
70年代の音楽がとても懐かしく、
ノスタルジックだ。
だから好きだ。カッコ付けてるわけじゃない。

そこは原っぱだ。広い原っぱ。
暑くも寒くもなく、空気が気持ちいい。
すごく丁度いい。
僕しかいない。とても気持ちがいい。

デカいマンションがポツリ。
蔦が絡まってて、もう何年も人が住んでいない。
中はひんやりと気持ちがいい。
誰も居ない。すごく丁度いい。

風が冷たく日差しが暖かい。
秋なのかもしれない。
空っぽのマンションは少しカビ臭い。
それがいい。自然の匂いだ。
そして僕しかいない。丁度いい。

別になにも要らないかな。
あ、70年代の洋楽はあった方がいい。
別にそれ以外は何も要らない。
もちろんスマホもいらない。
普段からあまり使わないし。

風で葉っぱが擦れる音は心地がいい。
川の流れる音もその世界にはある。
その時の匂いも全部懐かしい。
そこにはずっと僕しかいない。
とても気持ちがいい心地のいい世界だ。

他の人達がどこへ行ったのかは知らない。
もしかしたら最初から居なかったのかもしれない。
そうだね、誰もその世界に招いたことがないもの。

ノスタルジックな光景と
ノスタルジックな空気と
ノスタルジックな匂いと
ノスタルジックな音と
ノスタルジックな