静かに流れる時間。
スリーライツ家の夜天の部屋に無理矢理連れてこられた月夜野うさぎは、少し大きいソファーに腰掛け本を読んでいた。
夜天に出された紅茶を一口飲み、ページを読み進めていく。

「…ねぇ…」

目の前には夜天が不機嫌そうに仁王立ちしているが、呼び掛けられる声が聞こえないのか、聞こえないふりをしているのか。
視線は本へと落ちたまま。

「月夜野、聞こえないの!?」
「聞こえない」

即答され、夜天は言葉に詰まるがわざと荒々しく隣に座って、じっと少女を見つめた。
コトリ、と加湿器の音が二人の間に響いた。

小さなため息をついて本に栞を挟み夜天を見る。

「月夜野、顔赤い」

嬉しそうに笑う夜天を軽くにらみつけながら両手を開いた。

「ほら、早く来なさいよ」

少年は少女を愛しそうに抱きしめる。


加湿器の音が、二人の耳に届いた。




――――――――――――


付き合って結構経ってる感じな夜ちびうさです
甘えたくて構いたくて仕方ない夜天と、二人の時間に慣れてきたちびうさ。
慣れすぎるとちびうさが夜天をより上手くあしらえるようになります(笑)