降っても晴れても。
2012/02/03 19:21
あの午後の2人の体温。
どうしようもなくて、また思い出してる。
過去は過去のままで、今とは別の世界だけど、忘れられずに離れない。
2人で勉強してた。あたしは少し疲れて、机に伏せて。君は参考書を読んでいた。沈黙も怖くなかった。落ちついて、眠たくなって。ゆったりと時間が流れるのを感じてた。
その時、頭に軽い体温。最初はなにかよくわからなかったけど、君の手だった。指先だけで、髪を小さく滑るように、君があたしを撫でていた。
とたんに自分の
体温が急上昇したことに自分でびっくりして、はずかしくてしょうがなかった。君の体温を受けてる髪の毛さえ、じんわり温かくなって。この熱が伝わってるんじゃないかって、気が気じゃなかったんだけど、やめてほしくなくて、眠ったフリを続けてた。
君は気づいてたかな。
なんでも気づく君にはきっと、なにもかもお見通しだったよね。
あたしの体温も、眠ったフリも、特別な気持ちも。
あれから、4年も時間が流れた。でも、あたしの体温があんなに上がったのは、あの時だけ。もしこの記憶がなければ、「あたしはクールなタイプだから、反応に出ないだけ」って、思えたと思う。だけど、あの体温はあたしに刻まれてたから、そうも片づけられずに、ずっと戸惑っては比較していた。
幸せだった体温は、あたしを苦しめたけど、同時に希望を抱かせてくれてたよ。恋に落ちれば、あたしの体温もあんなに熱くなるって。誰も好きになれないわけない。冷たいままなわけない。熱く溶けるような気持ちが、あたしの心にも存在することを。
今も忘れられないまま、甘く残る記憶は、今もあたしの希望だよ。
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