スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

「あなたが、すきです」


REBORN!
SS
雲雀×クローム髑髏(雲雀×凪)




「虚しい残響だけが響く、私の声はもう届かない。
(私が何かを望む事を神様は許してくださらなかった)」


*―*―*―*―*―*―*―*



「もう、駄目なの」
「…………それ、どういう意味?」
彼の声が重たく響く。私は震えてしまいそうになる唇をぎゅっと噛み締めた。
「……私は、骸様のお陰で生き長らえているの。文字通り、骸様無しでは生きていけない。骸様から離れられないからだなの」
「こんな時にそんな名前聞きたくない」
「だって仕方ないじゃない。関係のない話じゃないもの」
「…………」
押し殺したような溜め息が聞こえて私は身を縮こまらせる。俯いたまま顔を上げることも出来ない。

こわい。



私ははじめて彼のことを、恐れた。



「……だから、もう一緒にはいられない?」
「だって、だって仕方ないの、私は骸様なくして生き続けたらいけない存在なの骸様を裏切ってはいけないのそんなことをすれば私も貴方も不幸になるの」
「……僕はそんなことは聞いてない」
私の言い訳を遮って彼が低い声を出す。
「六道骸のことなんて聞いてない。君が僕といたいかどうかを聞いてるんだ」
「だから私の意思なんて関係なく無理なものは無理なの」
「僕は君に聞いてる」
「私は骸様。骸様は私。切り離すことは出来ない。ふたりでひとつだから」
「…………―――そう。だから、もう駄目?」
「…………、」
賢しい彼は無言を肯定と受け取って、重々しく溜め息を吐き出した。

やがて、彼が去っていく足音が聞こえた。私は堪えきれずにずるずると座り込んでしまう。
「ぅ…………ぁ」
ちいさい嗚咽が自然と漏れた。だめ、泣くな、全て自分の所為なのだから。そんな自己満足な行為が赦される訳がない。
……こわい。
何故こわい?
何がこわい?





貴方にきらわれることがいちばんこわい。
見限られるのがいちばんこわい。



こわいと思いながらも、
貴方の心を、私は無惨に踏みにじった。
なんて矛盾した、私の行為。




だってほんとうに私がおそれているのは、貴方に捨てられることだから。
だから自ら断ち切った。








だから私は、自ら貴方を捨てた。
















あれだけ骸様が、と言っておきながら、結局私は自分のことしか考えていない。所詮私はおろかなにんげんなのだ。
自分のことしか考えられない利己的で浅ましいイキモノなのだ。
自分の弱さから目を背け、骸様と恭弥。ふたりの名前と存在を汚した。



なんて―――愚か。








「っ、…………」
きょうや、と口の中でそっと呟いた。きっともう二度とそう呼ぶことはない。
そう、思った。





「……クローム髑髏……………………いや、凪」
切羽詰まったような声音が私を呼んだ。
一瞬耳を疑った。
顔を上げられない。上げられる筈もない。
数刻前、もう二度と聞く筈もないと思ったその声が、私の名を呼んだのだ。
「きょう、や……?」
ふるえる声でその名を呼んだ。
瞬間、あたたかい腕に抱き寄せられた。
「…………ッ!」
涙がこぼれそうになった。甘やかなぬくもりに身を委ねてしまいそうになりながら、私は必死で抵抗した。しかし、抵抗すればする程強く抱き締められる。
「だめ、離し……!」
「離して欲しいなら、本気で嫌がってみなよ」
「それは…………」
何故そうすることが出来ないのか、自分でもわからない。
私が彼を捨てきれないから?いつから私はこんなに未練たらしい女になったのだろう。
抗いたくない、と、抗わなければならない、という思いが交錯する。

いやだ
私はこんな我が侭を言う子じゃなかった筈なのに。
これじゃあ自分のことしか考えていないあのチチオヤやハハオヤと一緒じゃない。浅ましい。なんて私は嫌なにんげんなんだ。いやだ、そんなにんげんになんてなりたくない。
貴方といたら私は自分で自分が赦せなくなる。私の醜さに耐えられなくなる。
「お願い、もう、放っておいて……」
ふるえる声で懇願しても、彼は離してくれない。
「駄目。離してなんかやらないよ」
「……貴方がいると私は骸様を裏切ったことになるの!そんなこと出来る筈がない!!してはいけない行為なの!!」
彼のそのひとことに、私は激昂した。なんでそんなに私を困らせるの!
「……それは、君が僕に恋をしているから?」
「っ、そうよ!!わかり切ったことを聞かないで!!私は貴方に恋をしている!!でもそれはいけないことなの!!わかってるの!!」
「それは、六道骸が君を生かしているから?」
「そうだと言ってる!!私のいのちは骸様のもの、だから貴方とは……」
「だったら、僕が君を生かす」
「……―――え?」
今、なんて?
「僕が君を生かす。君が生きる理由になる。君が生きることを一番に望む。君はあいつに貰ったクローム髑髏という人間じゃない。僕の中では凪なんだ」
「わた、わたしは……いや、私はクローム髑髏、弱くて惨めな凪はもう死んだ!」
凪じゃない、凪じゃない!私はもうかわいそうな凪なんかじゃない!!
私は頭を抱えた。いや、もう言わないで。
それなのに、恭弥は言うのだ。
「死んでない。君は凪だよ」
愛しい僕の凪。
その言葉に、私は子供のように泣きじゃくった。
「ちがう……私はクローム……クローム髑髏……」
「クローム髑髏は六道骸が生んだ。凪は僕が生かす。だから君は僕のものだ」
「っそんな、滅茶苦茶な理屈……!」
「滅茶苦茶でも何でも良い。凪が僕のものになるなら」
「……馬鹿……」
理屈にもなっていない理屈に怒鳴る気力も失せて、私は力なく恭弥の胸を叩いた。恭弥は苦々しそうにそれを受け止める。
私は恭弥の言葉を要約する。
「私はクローム……骸様の忠実なお人形……そして、恭弥の、弱くてちいさな凪。……そういう事、なんでしょう?」
私は凪であり、クローム。その両方で在り続ける。
そういうこと。

「その通り。凪があいつのものになることはない。凪はずっと僕のものだ」
なにかの誓いのように神妙に言うものだから、私は思わず吹き出しそうになった。恭弥は不機嫌な顔で目を伏せ、それからゆっくりと跪いて私の手を取った。
「君を僕にくれる?」
それはまるで姫にかしずく騎士のように恭しく。
まるでお姫様にでもなったみたい、だなんて我ながら分不相応なことを考えて。
そっと、私の秘密を打ち明けた。
「ずっと前から、凪の心は貴方のもの」








神様がなにかを赦してくださらなかった訳じゃない。
ただ、私の脆弱なこころが神様の、骸様の所為にしていただけなのだ。恭弥といることが耐えられなくて、誰かの所為にしたかっただけなのだ。ただの甘えだ。
凪とクローム。
切り離すだけで、こんなにこころが楽になる。

……なんて、我ながら都合が良い話だ。虫がよすぎるかもしれない。
それでも、今なら、言える。クローム髑髏じゃない、凪として。





「私は―――貴方が好きです」





――――――――――


去年くらいからうだうだ書いてて、やっと書き終わったはいいけどどこにうpれば良いのかわからなくなったので適当に放置!
意味ワカンネとか言わないでwww

最近コミックスしか見てないので設定とか微妙に微妙です!口調も微妙です!←

屋上と緑茶とビールと。

*学ヘタギルエリ



「あ…………」
「げっ」
エリザベータが屋上のドアを開けると、フェンスの傍には彼がいた。嫌な場面で出くわした、とばかりにギルベルトは眉を顰めた。人差し指と中指の間には、仄かに煙る煙草が挟まっている。
「なんだよお前……今は授業中だろ」
「……あんたこそ、授業サボりじゃない。しかも煙草なんか吸っちゃって」
「うるせえよ」
ギルベルトはそう言いつつ、コンクリートの床で煙草の火を消した。
エリザベータはそんなギルベルトから少し距離を取って腰を下ろした。そして体を折るように丸める。彼女から聞こえてくる呼吸音は浅く、早い。
そんなエリザベータにちらりと視線を送り、何気なく話し掛ける。
「お前、調子でも悪いのかよ」
「別に……大したことないわ」
プイ、とそっぽを向くエリザベータだったが、とても大丈夫そうには見えない。
「腹でも壊したのかよ。こっちの気が滅入るから、保健室にでも行け」
「今行ったら、ベッドがいっぱいだったの。ほっといてよ、でなきゃあんたがどっか行って」
「ふざけんな」
「じゃあ、ちょっと黙ってて」
エリザベータが顔を伏せる。沈黙が二人を包んだ。
ギルベルトはまた新しい煙草を取り出したが、暫く手の中で弄んだ後握り潰してしまい、

「ったく……おい、ちょっとこっち向け」
「……何よ」
不機嫌にエリザベータが顔を上げると、ギルベルトが何かを放ってきた。
慌てて受け取ったそれは、ほんのりと温かい。下の自販機で売っている、緑茶の缶だ。
「…何、よ……」
「やる」
「別に、いいわよ」
「強がんなよ、腹痛女が。開けてねーから、優しい俺様に感謝しつつ、ありがたくもらっとけ」
そう言ったきりギルベルトはそっぽを向いてしまった。それ以上何かを言う気にもなれず、エリザベータは缶を両手で握りしめた。
「……一応、お礼を言うわ」
「別に」
ぶっきらぼうにそう返すと、ギルベルトは手元にあった缶ビールのプルトップを開け―――
「って。あんた、何呑んでんのよ……!」
「何ってビールだよ」
「学校で未成年が堂々と飲酒してんじゃないわよ……」
「不良だからいーんだよ」
訳のわからない理屈だ。
釈然としない顔をしていると、ギルベルトはにやりと笑って自分の持っている缶を差し出した。
「そんな気になんなら、ほら、一口呑むか?……ああ、優等生の腹痛女には無理か」
「……ちょっと。女の子に向かって腹痛腹痛って連呼するんじゃないわよ」
地の底から響くような声で凄んでみても、相変わらずギルベルトはにやにやしている。腹痛の所為で手は出せないとでも思っているのだろう。


なんだかとっても、癪に障る。


エリザベータは、体調不良とは思えない程の素早さでギルベルトの缶を奪い取った。
そして、豪快にビールを呷る。
「あっ、おいお前!」
何度か喉を上下させ、唇を離す。そしてぽつりと一言、
「……にがい……」
「当たり前だ馬鹿」
ギルベルトが缶を奪い返す。口の中にはホップの独特な苦味が広がり、ついでに急に冷たいものを飲んだ所為かお腹がキリキリするけれど、つん、とすました顔でそっぽを向いた。
「馬鹿にしないでよ、これくらいどうってことないんだから」
「うるせー馬鹿」
……今度は何か、小さいものを投げ渡してくる。
それは、銀の箔とプラスチックに包まれた2粒の錠剤―――よくCMで『半分は優しさでできている』と謳っている、有名な鎮痛剤だ。
「……これ……」
「ヴェストのやつが今朝頭痛がするとか言ってたから、たまたま持ってたんだよ。それやるから、酒が抜けたら飲めよ!」
ギルベルトが早口にまくしたてる。
エリザベータは手の中の錠剤を見つめた。
そうだった。彼はいつも面倒見のいい世話焼きで、自分に近しい者には優しいのだ(まぁその優しさは3分の1くらいしか伝わらないが)。言葉遣いも態度も悪いしウザい奴だけど、根本的な部分ではいいやつなのだ。
「……ありがと……」
エリザベータはさっきもらったお茶を握りしめて、膝に顔をうずめた。
「…………ん」
ギルベルトは短くそう返し、ビールを呷ったのだった。




―――――
prev next