「アルトくぅーん」


ランカの可愛いい声が響く。仔犬が飼い主になつく様に尾尻を振り全身でスキスキを表現する。

はたから見ると微笑ましく、可愛らしい光景だ。
事実、周囲の二人を見つめる視線はどこまでも温かい。
女たらしで有名なミハエルまでもが、ランカを見守るスタンスだ。

………あたしは?


ランカは確かに可愛いい。大きなつぶらな瞳でなつかれたら構いたくなる。


なのに

なんで……


「…こんなに……心が痛いの」

「シェリル?具合悪いのか?」

心配げなアルトの瞳がシェリルを見下ろす。

なっ!!!
「何であんたが居るのよ」
「お前な」

一転してアルトは不機嫌に眉をひそめる。


「…あ」


放課後に買い物に付き合いなさい!


いつもの調子で、アルトにお願い(命令)していたのをぼーっとしていたために………綺麗さっぱり忘れていた。

「アルトは律儀だね」
約束したわけでもないシェリルの一方的な約束。


「……忘れると、後でウルサイだろ。お前」

ボソリ


と、呟き。シェリルから顔を背ける。忘れていたシェリルに少なからず腹を立てた様だ。

「アルト!!!」


アルトくぅーん。


あの子みたいに可愛い女にはなれないけれど。今日ぐらいは


「ありがとう」


素直に言って、左腕にしがみついてみた。


シェリルの胸の感触にアルトの頬が面白いくらいに赤くなる様を満足そうに見つめて、銀河の1の笑顔を惜し気もなくアルトに向けた。