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アパッチパチパチ

アパパパパパッチ(筑波の方言でこんにちわの意味)

明朝早々と出勤するので今日は早めに寝ます。
明日一日がいきなり忙しくなるので・・・
今週末は習志野空挺初降下であぱちが飛ぶらしいのです。
しかし三連休は色々山場だからレッドブル買い込んでおうちで頑張る。

もうすぐスペース案内が来るなあ。ドキドキ。

拍手ありがとうございます

先日と今日拍手をして下さった方、ありがとうございました!

バーティゴ増補シーンがかなり狂ってるけど通常運行です。
某賢者の助言を得て書いてみました。誓がもはやエロ担当になりつつある。
ガーターストッキングはいいものだ。

それにしてもカルティエの腕時計のCFが格好良さすぎる。
スパイ映画風に時計の部品を盗むストーリーなのですが、音楽も映像も異常なクオリティです。
YouTubeで公式配信してますので是非。カルティエのCalibreというモデルの作品です。

〈VERTIGO〉1ST PHASE:BOGGY-3

時刻は6時50分になっていた。
混雑する朝の道が、佐久の朝を苛立たせる。毎日のこととはいえ、未だにこの無駄な時間が惜しかった。
和光基地周辺は住宅街のため、当然朝の通勤時には交通渋滞が起きる。
信号に堰き止められた車の列の中で、佐久はステアリングを指先でタップした。
差す朝日が、迷彩服を金色に照らし出す。
ラジオから流れる、女性アナウンサーの明るい声。流行の洋楽。
女性アナウンサーの声が、不意に佐久の記憶を呼び起こす。
その下士官は、入間から来た。
エイワックスのクルー。軍曹。若いが「砂漠の夜明け」作戦での戦歴がある。
そう聞いていたのに、実際に和光基地に来たのは背の低い、まだ子供みたいな女だった。
丸みを帯びた童顔に、大きく円らな瞳。150半ばに満たない身長に、胸だけは立派に備わっている。
眉で切り揃えた黒髪は、一層幼さを強調していた。
しかし態度は胸くらい立派で、佐久を相手にまるで対等のように振舞っている。
空軍の悪い冗談に、佐久の口許は引きつった。
信号が青に変わる。ギアをニュートラルから2速に入れ、クラッチを離す。
いくらサイボーグとはいえ、適性がなければエイワックスのクルーには選抜されないだろう。
そう知っていても尚、頼りなさは消えない。それに、あのいかにも空軍らしい鉄面皮が気に食わなかった。
渋滞はギアを3速に押しとどめる。その苛立ちと、誓の俤が佐久の神経を刺激した。
佐久の乗る、メタリック・ブルーのRXー8は、とろとろと進む。渋滞がなければ数分で着く道のりだ。
缶コーヒーとともに不快感を飲み下すと、大きな溜息が漏れた。
愛車のステアリングの感触、ほのかな消臭剤の香り、心地よいロータリー・エンジンの駆動音がいくらか心を慰めた。
馬が合わない、という言葉がある。誓はきっと、それに該当するに違いない。
ようやく車の列が流れ出し、佐久はギアを変えた。
朝早くから和光基地に到着する輸送機が、最後の直線コースで降下する。巨鯨の腹が頭上を掠めていく。

「おはよう、Cー130」

ジェット・エンジンとプロペラを組み合わせたターボ・プロップの重低音を後に残し、建物の向こうに消えていく。
視界に現れる基地の柵沿いに走り、基地ゲートの手前で右ウィンカーを上げた。
外の世界とは一線を画す基地の内部が、ゲートの向こうに広がる。
飛行場に近づくにつれ、灯油が燃えるような臭い、ヘリコプターの羽音が空気に満ちてきた。
駐車場に車を停め、佐久は研究エリアへ向かう。飛行場の朝が始まり、昇っていく陽が格納庫の蒲鉾の屋根を輝かせる。
帽子の庇を持ち上げ、その朝日に目を細めた。
スクーターで出勤した彦根が佐久を追い抜き、クラクションを鳴らした。
芝の匂い。朝日の色。エンジンの音。朝早くから行き交う整備員たち。
事務室に入ると、すでに出勤していた整備員たちに挨拶を返す。
8時きっちりに出勤してくる持内重工の社員たちとは違い、軍人は朝夕の多少の時間外勤務を厭わない。
今時、病院か軍隊くらいしか使っていないリノリウムの床が、今日も清掃されて光沢を保っていた。
整理された書棚。オレンジ色の取扱説明書のファイルは揃えられ、期限の切れた書類はシュレッダーにかけられている。
デスクの島の、自席に座る。部屋中に広がる、ドリップのキリマンジャロの香りが鼻腔を擽る。
その中に、嗅ぎなれないムスクの柔軟剤の匂いがふと近付いた。

「おはようございます」

灰色の迷彩服。佐久の、光学器機メーカーのロゴが入ったマグカップをトレーに載せ、艶然と微笑む朱の唇。
コーヒーを置く瞬間、誓の黒い瞳が佐久を見た。
微笑んでいながら、その表情には感情がない。ほんの一瞬で、佐久はそう感じる。
コーヒーの円い水際は透明から黒を増しながら、ゆらゆらと揺れる。
そこに映る自分の顔は波に崩れ、霧散した。
顔を上げると、彦根にコーヒーを運んでいた女の整備員と目が合う。
すらりとした長身の相模ーー相模あやめ伍長は、佐久にごく自然に微笑んだ。
顎で切り揃えた赤毛が、窓際で光に染まる。
中世的で、どこか美少年めいた顔立ちが綻ぶと、その眩さが心を照らした。

「おーありがと」

カップを受け取った彦根が、美味そうにコーヒーを啜る。
特に親しい訳ではなくとも、あやめには安心感と信頼感がある。同じ女でも、どうしてこうも誓とは違うのだろう。
表面的に女らしくとも、本質的に性的な垣根を感じさせないあやめ。
表面的に性を封じ込めていても、本質的に女を感じさせる誓。
目を細めて、ちらりと誓を覗き見る。
丸みを帯びた尻のラインに、締めたベルトが強調する腰のしなり。斜め後ろからでも見える、豊かに突き出た胸。
向かいのデスクに座る彦根が、佐久の視線の先をちらりと伺って笑う。
男なら、皆感じることは一緒だろう。どれだけ本人が無性的に振舞っても、身体から溢れるセクシャル・アピールは目を引く。
翳りと湿り気のある雰囲気は、誓の実体を遠く霧の向こうに隠しているような気さえした。
視線を引き剥がした佐久は、コーヒーを飲み込んで気分を切り替える。
国防省ネットワーク回線を開き、新着メールをチェックする。
ざっと目を通し、担当の人間を呼ぶ頃には、佐久はもう誓のことを忘れていた。
そうしているうちにあっという間に朝礼の時間になり、佐久は格納庫前の路上に整列した。
蒲鉾型の屋根。剥き出しの鉄筋が構成するアーチ。
矩形に切り取られた朝日が、格納庫の中に流れ込んで来る。
その白さに洗われたアパッチの機体は、静謐さと始まりの予感を伴って佇むのだった。
きっちり等間隔に整列した整備員たちの影が、アスファルトに伸びる。
部隊の指揮官である前森中佐が前に立つと、朝礼が始まる。
今日も一日が始まるのだ。今日の予定や中佐の話を聞き、体操をするという決まった儀式が繰り返される。
それが終わると、間もなく飛行前ブリーフィングが始まる。
研究エリアの滑走路側にブリーフィング・ルームがあり、時間になると、研究エリアに勤務するADEXgのパイロットたちが続々と集まる。
普段は別々の部署で働いているパイロット達が顔を合わせるのは、このブリーフィング・ルームと飛行指揮所と呼ばれる二箇所くらいだ。
折り畳み椅子に座って呻吟するのは、各軍のパイロットたち。
陸・海・空、海兵隊のそれぞれの迷彩服を着たパイロットたちが垣根もなく集まる様子はここの名物風景だった。
戦闘機から偵察機、ヘリコプター、そして無人機のオペレーターまで、ここにはあらゆる種類のパイロットが集まる。
彼らが着席した、8時ちょうどにブリーフィングは始まる。
パイロットの長である空軍の大佐が正面に出ると、全員が起立して敬礼をした。
無事故の願掛けをした神棚がブリーフィング・ルームには設置されており、その下、パイロット達の正面にはスクリーンやホワイトボードがある。
二枚のホワイトボードのうち一枚には、所属機の機体番号が表に記入されている。今日乗る機体番号の欄に、名前のマグネットを動かすようにされていた。
挨拶が終わると、中堅の海軍少佐がブリーフィングを取り仕切る。
まず基地の気象予報士がスクリーンに気象情報を映し出した。
眼鏡をかけたインテリそうな細面は、海兵隊員には稀な面立ちだ。
佐久は彼の説明を手帳のメモに取りながら聞いた。
衛星からの雲の映像、地上から上空への大気の変化、今日一日の風向きと気象の変化。
今日一日は高気圧に覆われ、終日南風が拭く。
ここ数日、安定していた天候は週末まで続くようだ。
気象の次は、各部隊の飛行情報。各部隊がどこの空域を使うのか、事前に調整がされている。
次に他所の部隊から来る航空機の情報が与えられ、それから部隊内の各機の飛行情報に入る。
佐久の今日のフライトは、午後だ。隣で手帳の表紙をボールペンで叩いている彦根は、午前からフライトだった。
太陽にジワジワとうなじを焼かれながら、必要な情報をメモする。
関東地域の地図に蛍光ペンで訓練空域が示され、その上にヘリコプターの機体番号を記入したマグネットが貼られている。
群馬・筑波・埼玉・富士周辺には陸軍、海兵隊、空軍は新潟や茨城沿岸、海軍は千葉県沖に多くマグネットが分布している。
佐久の機を示す青色の「589」は、神奈・湘南の海兵隊演習場に置かれていた。彦根機は筑波の山間である。
最後に、ノータムと呼ばれる航空情報の抜粋が読み上げられる。
航空機に対する注意として各空港・飛行場が発行するものであり、空港の設備の異常や花火大会、気球の打ち上げ等、飛行に影響のあるあらゆる情報を網羅していた。
日々更新されていくそれらの情報の中から、ブリーフィングでは特に重要なものを選んで読み上げる。
海軍少佐は、その他に「埼玉の行田で国賓が出席する行事が予定されているので、県警から会場付近5マイルの飛行場を自粛してくれと要請がきている」と付け加えた。
それが終わると再び挨拶が行われ、ブリーフィングは解散する。

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