※文才のない十色が、或る詩謡い人形の記録シリーズを解釈してみた。血の表現などが時々出ますので、苦手な方は回れ右!
十色の解釈になりますので、自分の解釈を壊したくない方も回れ右でお願いします!








◆或る詩謡い人形の記録◆
◆「賢帝の愛顧」◆

昔々或るところに・・・


雪の降る北の大陸に
とある国がありました。

その国は戦争もなく
それはもう平和な国でした。
王様も民を愛し平和を願う
皆から慕われる良い王様でした。

ある日、王様は
国で一番といわれる歌姫に
恋をしてしまいました。

しかしその歌姫は
体を蝕む不治の病を
抱えており、そう永くは
生きられないのでした。
王様は愛する歌姫の
苦しむ姿を見て
立ち上がりました。

「彼女を延命させる術を
きっと見つけだしてみせる」

その日から王様は
変わってしまいました。

歌姫の病を治す術を探すために
東の国、西の国を次々に
滅ぼしていきました。
たくさんの命を奪い
あの頃の平和を願う
王様の面影はもうありません。

王様は血に塗れ
国を滅ぼしては
人を無差別に
殺していきました。

「もうこんな無駄な戦いは
おやめください!」

王様の片腕の部下は
争いをする王様を止めます。
しかし、血に狂った王様は
部下の忠告には
耳も貸しません。

部下はついに決心しました。

「血に狂う王の為に
王の愛する歌姫を
永久の眠りにつかせよう。」

部下は歌姫に永久の眠りに
つかせる呪文をかけました。
眠る歌姫を棺へと入れ
王様の前に差し出しました。

「王様、歌姫はもう
目を覚ますことはありません。」

王様は棺に入る
歌姫を見たとたん
崩れ落ちました。

「なんという事だ。
私は何のために
血に塗れたというのだ・・・。」

王様は悔いるように
両手を顔に押さえつけました。
そして王様はキッと
棺を差し出した部下を
睨み付けました。

「お前が歌姫に術を
かけたのだろう!
お前なんか牢屋にいれてやる!」

兵士に部下を取り押さえさせ
王様の片腕だったその部下は
歌姫に術をかけてしまった罰で
牢屋に入れられてしまいました。


王様が棺の前で佇んでいると
ふと兵士の悲鳴が聞こえました。
そこには異形な化物が兵士を
切り裂きながらこちらへと
向かってきていました。
化物は長く鋭い爪を右腕に持ち
こちらへとやってきます。

「お前から奪われたものを
奪いに来た。
今度はボクが奪う番だ。」

そう言って化物はついに
王様の前にやってきました。
王様が何かを言おうとした瞬間
化物は王様の喉に鋭い爪を
立て切り裂きました。

赤く紅く染まる首元。

たくさんの血が地面に
赤い紋様を作りながら
落ちていきました。
王様は血の吹き出る
首元を押さえながら
棺に被さるように倒れました。
喉を裂かれ息切れ切れに
王様は最後の力をふりしぼり
棺の中の歌姫に囁くように
言いました。

「すまない・・・。
ここで一度お別れだ。」
「先に行くよ。
白き門が閉じる場所へ・・・」

そして異形の化物は
高らかに笑いながら王様へと
赤く染まる長き爪を
降り下ろしました。

王様の意識の最後に見たものは

赤に染まる白だった。


国は滅びゆく運命に
足を歩み始めていた。

平和を願い
愛する人の幸せを願い
それを叶えようとした王様は
たくさんの命を奪い
平和を壊し
民の幸せを壊し
最後にはその怒りに自身が
身を滅ぼしてしまった。

だけどそれはまた別のお話。

この物語は1つの願いに
全てのものを犠牲にした
そんな王様の物語。




或る詩謡い人形の記録「賢帝の愛顧」 を勝手に解釈してみた。
後書きは追記に。