2011-7-26 03:29
繁良
連載とは別物
ぱくり、ぱくり、───おえ、
「駄目じゃないか、ちゃんと食べろ」
食べる事を強要される、しかし食べ物を受け付けてくれない身体は、衰弱しきっていた。かつては思いのままに振られていた拳も、上手く握れない。力が出ない。そりゃアンタだって心配するよな、でもな。
食べるたびあの血の、肉の味が、自分のしたことが、フラッシュバックして、吐き気がして。どうしても食べる気が起きないんだ。それでも食べさせようとする彼に、いつの間にか愛しさを感じていた。どうしようもない事態に焦り、必死になって助けようとしてくれる。
だから、吐いてしまうとわかっていても、アンタの為だけに食べるんだ。
「早く、元気になってくれ…俺はお前が、」
「言うなよ」
言うなよ。わかってるから、いつか治して、元気になって、そしたら、そしたら。
「俺だってお前と幸せに生きたい」
息を呑む音がした。
ああ、ごめんなさい。