作 米澤穂信
創元推理文庫


季節は三年の春。前回の上巻でようやく動き出した小鳩くんがメインになります。いわば解決編、かな?
爪野くん視点も悪くはないのですがやはり安心して、というよりも小鳩くんが淡々としすぎ。でも読みやすいのは小鳩くん視点ですね。
小鳩くんが新聞部元部長の堂島くんの協力の元、事件解決のために色々と仕組んでゆき、その間にも早くも新聞部部長となり新一年を手下に加えた爪野くんが連続放火犯を捕まえるべく熱を上げつつ小佐内さんに不信感を募らせます。そしてそうこうしてる間にふられてしまう小鳩くん。

小佐内さんへのあらぬ疑いに、もしやそんな小佐内さんな訳が…と思いながら読み進めていく内に、事態は着々と進み、火事現場で再開する小鳩くんと小佐内さん。

正直放火犯については案の定感がありました。なんとなく察し。でも直前まで小佐内さんが謎すぎて(爪野くん視点でも小鳩くん視点でも)ちょっと疑っていたのもあります。

自分から見て小鳩くんと小佐内さんのやりとりは時々難しいものもあったのですが、最終的にはよかったなと思いました。やはりそちらの方が落ち着きます。

上巻を読み終えてすぐに下巻も読み終えてました。身近な小さな謎から連続放火犯までも捕える小鳩くんとそれに暗躍?する小佐内さんの組み合わせがとても楽しかったです。
聞くところによるとこの『小市民シリーズ』はここで終わってしまっているそうなので。ここで終わっていることに安堵する反面寂しい気もします。
小佐内さんのスイーツに振り回される小鳩くんが好きだったもので。