作 野梨原花南
集英社オレンジ文庫


妹から借りた本の中にあったので真っ先に読破しました。
『妖怪と小説家』ぶりの野梨原先生の本です。
なんでもないただの高校生だったはずの岩田万丈がある日突然家に住めなくなって父の言葉を頼りに群馬から東銀座にあるビルにやってきて、石さんと名乗るおばあさんと一緒に暮らすお話です。
さくっといえばそんな感じなんですけど、まあそれだけではない訳で。夢の中で会った不思議な女性のキヌや、色々あって同居することになった母子と、なんかまあよくわかんないけど不思議なイケメンとの出会い等々。
野梨原先生といえばやはり『ちょーシリーズ』が一番印象的なんですが、それ以降の最近のお話って結構ふわっふわした感じなんですね。『妖怪と小説家』とかも。でもなんていいますか、ふわふわした軽い会話にやり取りだとか、時にはシリアスな心境とか、でもやっぱりふわっとした感じで、こういうこともあるよねーっていう、不思議なこともまああったりするよーそんなんだよーみたいな真相解明はしないふわっとした感じが、嫌じゃない寧ろ心地よく感じるのが野梨原先生の作品のよい所なんじゃないでしょうか。でもふわふわしてても、メッセージ的なものがダイレクトにくるのが最近の作品の傾向なのかなって個人的に思ってます。
『あんたが、ちゃんと飯喰って寝て、楽しく過ごしてるのが、一番あいつらの助けになるんじゃないかね』
作中の登場人物、石さんの台詞です。わかりやすくてダイレクトで、そっかーってなる感じ。
他にもたくさんあったのですが、割愛します。小難しく遠回しでなくて、ダイレクトに、時々ふわっと、野梨原先生の伝えたいことを感じ取って、そっかーってなるのはとても楽しい時間でした。
『妖怪と小説家』も楽しかったですが、私個人としてはこちらの方が好きです。
また野梨原先生の本を拝読して、そっかーってなりたいです…笑。