*氷菓のノマカプ文です。
日常的な感じで甘くないです。
*氷菓は始めて書いたので、一人称・名前呼び等間違えがあっても心の目で補正してください←
*以上踏まえまして、大丈夫!という方のみお進み下さい。
ちなみにほーたろー×えるちゃんが大好きです(もぐもぐ)
うだるような暑さ。
そして梅雨特有の湿気。
こうなってしまっては、動きたくもなくなってしまう。
省エネ行動を掲げる俺、折木奉太郎にとっては今この古典部の部室で扇風機を浴びながら体力を回復・温存するのが優先課題だった。なのに、
「わたし、気になります!」
部屋に入ってきた千反田えるは、俺の快適空間を壊すかのように突如お決まりのフレーズを放った。
「……何が、なぜ?」
「折木さんが部室に居る理由です!今日の放課後はみんなで駅前のアイスクリームを食べに行く約束してたじゃないですか!」
お決まりのキラキラした目ではなく、少し頬も膨らんでおりそれは明らかに怒りを現していた。
それでようやく「そんなこと言ってたか?」とか「だから誰も部室に来なかったのか」などと思考が動き出した。
「お二人はお先に行くと言っていましたよ?ほら、私たちも!」
そう促す千反田に引っ張られそうになった瞬間に、古典部の窓からは確かに先に駅に向かっているらしい小学校からの腐れ縁の福部里志と伊原摩耶花の姿があった。
しかも、同じ傘に入っている。
「待て。今はまだ…早い」
「早い?」
「そうだ。俺はお前らの約束を忘れてた訳じゃないんだ。ある謎を追いかけていたんだ!」
今出てしまっては、二人に追い付いてしまい気まずい思いをするだけだ。とっさに出た嘘だったが千反田は満足したらしく「なんですか、謎って!?」と目を輝かせた。
「それは……、この学校の七不思議の5つ目だ」
「5つ目……?」
やばい、これ以上言葉が出てこない。冷や汗が出そうになりながらも外を見ると、外の雨が一層激しくなり部屋にまで雨が侵入しそうになっていた。
「おわっ!千反田!窓だ!」
「へ?わわ、大変です!!」
二人で窓を閉めるとほっと一息。そして笑い合う。
「じゃあ行こ…「わたし、気になります!」
今度の気になります!は正当な問題と理由がないと落ち着かなさそうなあれだ。
毎度のことながらその好奇心には目を見張るが。
「そうだな……じゃあ言うが…」
「はい!!!」
「……毎年6月、理科室の人体模型が勝手に動き出す事件を知ってるか?」
七不思議ではないが以前どこかで聞いた話だ。それを思い出していくうちに、口から言葉が紡がれていく。
「その人体模型は普段は勿論理科室にあるんだ。だが、火曜と木曜の朝になると学校のあらゆるところに移動されている。しかもだ、」
「しかも?」
「その人体模型は、コスプレをしているんだ」
こすぷれ?
その単語が聞きなれなかったのか、人体模型が服を着ているという事態が想像できなかったのか、千反田は大きく首を傾げた。
だが、暫く黙った後で我に返ったように大きく口を開いて
「わたし、気になります!」
「それは分かったから!つまり、この七不思議の謎を考えてたんだよ」
「そうなんですか……。火曜と木曜に関連すること…。そしてコスプレ…」
雨音が一層激しくなる中、千反田はうーん、と唸ってみせた。アイスクリームのことなど忘れてしまったようで、この何ともお粗末な謎に真剣に取り組んでいる。
「朝だぞ?朝にあるってことは、その前日の月曜・水曜に関連があることだろう」
「ええっ、折木さんは分かったんですか!?」
むしろ何故分からない学年首位。これは経験や勉学とは無関係な知識が関係するのだろうか。そう思いながらも「あくまでも推測だがな」と部室の出口へと向かう。
幸い、今日は問題の水曜日だ。きっと今もその準備に向けて取りかかっているのだろう。
階段を降りて一階へと向かうとある場所へ向かった。
「家庭科室…?」
ミシンの音が鳴り響く放課後の家庭科室。中では家庭部が活動をしているらしい。
「次の質問だ。なぜ6月なのか」
「なぜ?人体模型と6月…ハロウィンではないですし…」
「そして、コスプレと言われる衣装の正体。付け足して言うと、こんなに奇怪なことが毎年起こっているのにも関わらず、大きな問題として集会などで取り上げられていない。以上の点から考えると」
「学校公認の行事か何かですか?」
「そう、俺はそう考えた。これを以前に見たからな」
家庭科室を横切るときに目に映る、〔全国高校生仮装コンテスト〕という大きなポスターと、そこに白と黒のシルエットとして描かれている女性の絵。
彼女は白くに型どられ、ドレスを身に纏っている。
「ジューンブライド!」
「そう。その悪質な悪戯の正体は家庭部が毎年出している花嫁衣装だ。デザインコンテストだから少し奇抜なもこなんだろう。だから、コスプレ」
これでどうだ、とばかりに千反田を見ると少しポスターに見とれていた。
「千反田?」
「あ、いえ……素敵な七不思議だな、と思いまして」
私もいつかこんなの着てみたいです。
そう呟いた千反田の白いドレスを身に纏った姿が頭にふと浮かんで、らしくもなく顔が緩んでしまった。
***
「ごめんなさい!遅れてしまって!」
「よー、わりーわりー」
「なんでちーちゃんが謝ってあんたがそれなのよ!!」
雨もすっかり上がった駅前で、腕を組みすっかりご立腹な摩耶花と里志。
俺の予想通り、二人はそれぞれ右肩と左肩が濡れていた。
感謝しろよな、これでお前らの秘密は守られた…
「あれ?お二人とも肩が濡れてますよ?」
「「えっ」」
「傘が一本……ああ!なるほど、お二人で傘に入られたのですね!」
「っ!お前!何でこんな時だけあっさり解決なんだよ!」
まぁ、どこかの誰かさんのおかげで俺の頑張りは一瞬にしておじゃんになっちまったがな。
* END *
ここまで読んで頂き有難う御座いました。
氷菓最近知ったのですが、えるちゃん可愛すぎですね。
そしてメイン二人がクラナドコンビと知って余計に大好きです。
氷菓好きな方と是非とも語りたい!!