ワタシハレプリカ

あたしの兄は
重度の知的障害者。

正式な病名とかは知らないけど

要介護。



せーくん(その兄)は３人兄弟の
２子、
せーくんと年子の１氏(姉)と、
あたしは３子。


あたしとせーくんは
５歳離れとるけんよくは知らんけど、
小学校にあがるくらいまでは、
大抵のことはひとりでできて
言葉もたくさん喋れたらしい。

せーくんは今２８歳。
今は、
と言うか、何年か前、
二十歳になる頃からは

抱えないと立てない
脱がさないと着替えられない
大好きな牛乳を飲むのにコップも持てない
こんな状態。

言葉も少ない。
この前帰省したときには
『ほたるー』と名前を呼んでくれたけど
『ママ』と呼ぶのかはわからない。
お姉ちゃんの名前を呼んだところは
もぉ何年も前から聞いてない。
昔はポンキッキの歌とか
歌ってたのに。


感情も、『いやー』や『いたーい』から
今はほとんどが『あー』や『わー』と叫ぶように言う。

他には、昔から好きなアニメの名前を言うくらい。




凄い残念。もっとせーくん元気になってほしいな。





あたしはせーくんがすごく好きだし、
まぁ家族として当然の感情だけど。


だから、心ない人が簡単に『ガイジ』とか
『しんしょー』とか
人の悪口としてそういう言葉を使ってると、
すごくいやな気持ちになる。

そもそも『健常者』『障がい者』と言う言葉があるのもあたしは気に入らないんだけど。



母はせーくんに『星来』、せいら と言う名前を付けた。

星から来た子供、この子は天使なんだ
と。

それが、障害がわかる前につけられたかはしらないけど。
そして、母が簡単にせーくんの障害を
受け入れたかどうかも。



でも、その通り、
せーくんはほんまに天使なんだと思う。


障害を持って生まれたせーくんゎ、
人間の、汚い『悪』の部分を持たない。

せーくんゎ、それを全く持ってない、天使。


外を歩くと、知らないおばさんとかが
『大変ですね、可哀想に』なんて哀れんだ顔であたしたちを見たけど、

ママは『全然可哀想なんかないよね、こんなに幸せなんじゃけぇ』、と言った。


その言葉は、あたしは忘れられん。